いい日
古びた家でつまらない男がお客を待っている。
何日も誰も現れなかったが、ある日女が入ってきた。
「ここで何をしているの?」
「あなたを待っていました」
彼は紅茶を出した。
「何のお話をしてくれるの」
彼は自分の好きなものの話をした。
女は胸の前で腕を組んで「それじゃあだめよ」と言った。
彼女は紅茶を買ってきた。
それは素敵な香りがした。
彼の洋服ダンスから服を引っ張り出し、彼に着せた。
それは彼が思いもしなかった組み合わせだった。
「変じゃない?」
「よくなったわ」
二人でお茶を飲みながら話し合った。
「まず、相手の言うことをよく聞いたほうがいい。
その人がどんな人か、何を望んでるかわかるまで。
そして気の利いた事が言えるとき以外は黙っているの。
ただ、笑顔で、相手にしゃべらせて」
「わかったよ」
「それから大事なことを言うわ。
待っててはダメ。あなたが誰かのところに行くの」
彼はちょっと考えてうなずいた。
彼は家から出ると看板を外して彼女と別れた。
家を出てぶらぶらと歩いてみる。
見上げると木から木へセキレイが飛んでいた。
橋の上から川の流れを見ている知らない男がいた。
「やあ、いい日ですね」
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