第二章5話 ターダノは避けられない
「へぶっ、へぶっ、ち、ちょっと、ま、待って・・・」
「オラオラオラ!どうしたどうした!それでも本当に四天王候補か!!」
現在ターダノは魔王城門番ズに魔法でフルボッコにされている。
ターダノが対象をみようにも魔法で視界が覆われており全く見えず、全体把握が叶わない状況であった。
そのため、移動しようと向きを変えた瞬間に後頭部に魔法を当てられ、またそちらを向いた瞬間にまた後頭部に魔法を当てられるというなんともドリフ的な要素が満点であった。
ただ、この状況はある意味仕方のないことであった。
ターダノは修行をつけてもらったはいいが、修行としては体を鍛えることを主目的としていたこともあり、はっきり言って魔法に対してはからっきしである。
そのため、魔法の対策も全然分からないため現状かなり不利な状況であった。」
また一対一としては前魔王お墨付きを頂くレベルまで成長した(体のみ)が、前魔王は本当に身一つで勇者と戦ったという逸話があるくらいの身体能力がずば抜けて高いこともあったため、ターダノの父ダノンゾルデとしても体を鍛えるという事だけを依頼していたが、本当に体を鍛えるためだけの訓練を行った前魔王であった。
前魔王は素直だったのだ。
ということで、現在前後左右上下から息つく間もなく攻撃されているターダノは、はっきり言って四面楚歌という言葉を超える状況であり、ある意味絶体絶命といっても過言ではない状況であったが、前魔王から体が異常なまでに鍛えられているため、ダメージとしては殆ど無い状況であった。
(そこまで痛くは無いんだけど、体を動かすこと自体が殆どさせて貰えないのがしんどいな・・・なんとかしたいんだけど・・・あ、これなら良いかも!)
思い立ったらすぐ行動するターダノは、魔法攻撃でやられるフリをしながらうずくまった。
そして、そのまま地面に手を突っ込み、とんでもない勢いで掘った!
それは、まるで、とある行為をしている男性の部屋にお母さんが入ってきた瞬間にエ◯本を隠す手のスピードを彷彿とさせるほどの手の動きであった。
ちなみに、この世界にエ◯本があるかどうかは定かでは無い。
それは良いとして、ターダノはとんでもないスピードで掘り進め、魔法が当たらなるくらい掘り進めたら、そのまま大体の敵の位置の直下から飛び出し、両手を羽交い締めにし、地面に顔だけを出せるように埋め、また地面に潜るという行為を繰り返した。
それはまるでモグラを彷彿とさせる動きであったため、【モグラの悪夢(モールナイトメア)】として魔王城に語り継がれるという、ターダノにとっては恥ずかしい黒歴史となるものであった。
ただ、その時点ではターダノは一生懸命なんとかしようとしていることもあり、客観的に見たら相当ヤバイ状況であったが、本人は気づいていなかった。
ターダノは夢中になると周りが見えない系男子だった。
そして、対象の全魔族を頭だけ出した状態にしたターダノは、とてもやり切ったドヤ顔を見せながら対話していた門番を探し、語るのだった。
「どうだ、僕の力は!」
ちなみに、地面に埋められた魔族たちはターダノの表情とその発言になんとも言えない呆れたような驚いたような悲しいような、そんななんとも言えない表情をするのであった。
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