第二章4話 ターダノは信用されない。
「おい、貴様!何者だ!!」
ターダノは魔王城前へ転移するとそう言われた。
ちなみにターダノは直接魔王城内部へ転移しようと考えたのだが、魔王城内部へは転移することができず、魔王城前への転移となってしまった。
そのため、城門を守る魔族に呼び止められてしまった。
ちなみに魔王城前に現れたことはなかったため、門番の人には顔を覚えてもらっていないのも誤算であった。
「えーと、中に入りたいのですが、ダメでしょうか?
四天王候補のターダノという者なんですが・・・」
「ははは!そんな角なしの魔族が四天王候補を語るなどふざけているにもほどがあるわ!」
「あぁ・・・やっぱり角がないのは変ですか。
深い事情があるのですが・・・」
「深い事情があろうとなかろうと知った事ではない!
ただ、ここに一人で来たことには敬意を評してやろう。」
そういうと、門番は耳元に手をやり、何やら言ってる。
「あの・・・どうやったら中に入ることが可能でしょうか?」
「あぁ、そう言うと思ってな、テストを受けさせてやろう。」
「テストですか?」
「そうだ、そしてそのテストに合格することができれば、魔王城へ入ることを許そう!」
「そうですか、では、テストをお願いします。」
「では、待っておれ!」
と、言われてから30分経った。
「あの・・・まだですか?」
「まだだ、待っておれ!」
「はい、分かりました。」
そして、合計1時間が経った頃
「待たせたな!」
「はぁ、やっとですか、では、テストは何をやるんです?」
「テストは合格だ。」
「え?テストは合格?何もしてませんけど」
「魔王様の意向でな。ちゃんと待つことができる者であれば、合格としても良いことになっている。」
「なんか、変わったテストですね。待つことができれば入ることができるなんて。」
「いや、まぁ、実はテストはこれだけじゃないんだ。ゲート!」
そう言った瞬間にターダノの周りは大勢の魔族で囲まれた。
「あー、こういうことか」
「そうだ!待ってくれて感謝する。
十分すぎるくらいの時間を待ってもらったのもあって、魔王城門番としてのメンバーも殆どが集まってくれた。」
「魔王四天王候補の僕がまさか魔王の敵対者としての立場になるとは、思ってもなかったですね。」
「いや、敵対者というわけじゃない。
魔王四天王候補だったとしても、他の魔族だったとしても、正式な手順を踏んできていない場合には同様の対応をすることになっている。
まぁ、大体の場合が待てといったところで待つことはなく無理やり入ろうとしてくるからここまで準備が整うことはまずないんだがな。
本当の敵対者への対応は話をすることなく殲滅だが、お前は例外だ。
ただ、折角なので魔王城流儀にのっとり対応させてもらう。」
「はぁ、まぁ正式な手順というものをそもそも知りませんから、しょうがないですね。
僕は皆を倒せばいいんですか?」
「そうだな、四天王候補としての力を示してくれ!」
「では、折角ですので鍛えた力を発揮させてもらいます。」
そう言った瞬間にターダノの周りの空気が変わった。
その変わりかたといえば・・・
波一つたっていない海がいきなり水蒸気爆発を起こしたかの如く。
晴天がいきなり雷雲に変わったかの如く。
今までコミュ障だった人間がいきなり多弁でリーダーとなったかの如く。
今までツンだった人が急にデレに変わったかの如く。
まぁ、そんな感じに変化した。
「狂戦士化(バーサーカー)か!」
「違います。
狂戦士化(バーサーカー)は、はっきりいって意識がほとんどなくなりますが、これは鬼戦士化と(デーモンウォーリア)と言って、意識もあり手加減もできますから!」
「手加減だと?魔王大隊を甘く見ているのではないか?」
「いえ、そうではないですよ。
以前お父さんに第三魔王大隊の訓練を観させていただいた時、本当に怖くてたまりませんでしたから。
ですが、約三年間激しい訓練を積んで以前よりは格段に強くなったという認識があるのでどこまで通用するのかをやってみたいだけです。
ただ、僕も将来的に第三魔王大隊の隊長を目指していることもあるので、倒しはしても殺しはしたくありませんからね。」
「第三魔王大隊を知っている。
内部事情に詳しいだと・・・
ま、まさか本当に魔王四天王の候補だというのか!?」
「驚き過ぎですよ!だからそうだといったじゃないですか!
まだ信用してなかったんですか?」
「いや、信用できない顔をしているものでな。」
「信用できない顔って・・・あー、だから誰も僕の話すことに全くといっていいほど耳を貸してくれないのか・・・納得したけど悲しい感じだわ。」
「すまんな。まぁ、四天王候補だと知らなかったことにして、やってしまおう。
いくぞ!!」
「はー。まぁそれでいいです。僕も全力で行きますよ!
「「「「「「ウォオオオオオオオーーーーーーーーー」」」」」」
遂に魔王四天王候補のターダノと魔王城門番ズの戦いの火蓋が切って落とされたのだった。
また、その戦いはターダノの黒歴史となるほど悲惨な戦いとなるのであった。
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