第一章 10話 父と母に一矢報いたが、なんか悲しい
目を開けるとそこは神器の部屋の入り口であった。
そこには母ターグリフと父ダノンゾルデが笑顔で立っていた。
「お帰りなさい〜ターダノ、神器は選べたかしら?」
「お母さんただいま。
あのね、ちょっと聞いて欲しいんだけど・・・」
「何々?聞かせて?」
ターダノは神器を選択する部屋の中であった事を伝えた。
すると、父ダノンゾルデと母ターグリフは固まっていた。
「お母さん?お父さん?どうしたの?」
「ははっ、まさか、そんな・・・なぁ、母さん」
「そうよね、そんな・・・はは・・・」
父と母は神器は自分自身であったものを選んでおり、確かに神器を選ぶ際にターダノが言っていた羽の生えたお姉さん、つまり天使だが、天使から二人とも神器を託され、特に問題なく神器の保持者となった。
しかし、ターダノの場合は流石に神器がたくさんあって選ぶことができず、まさか2時間もかけて神器を決めきれずに、さらには天使に神器の選択肢を狭くして欲しいと言って呆れられ、神器を天使に勝手に決められて、神器の保持者となる例は聞いたことがなかった。
そのため、ターダノから話を聞いた二人はいくつもの戦場をくぐり抜けて、生き残り、滅多なことがない限り心も動じないほどであったが、それをターダノは超えてきたのだった。
しかし、ターダノから見たら、父と母にはめられたというように思い込んでいるので、固まっている父と母を見て、少し優越感に浸っていた。
「僕もお父さんとお母さんをびっくりさせることができて良かったよ!流石にはめられっぱなしは辛かったからさ」
「あぁ、うん、そうだな。お父さん驚かされちゃった・・・はは・・・」
「うん、お母さんも・・・ふふふ・・・」
(ん・・・なんか、想像してた驚き方と違うし、なんか驚いているというか、呆れられてるって感じが・・・なんか、悲しくなってきた)
想定と違う驚き方をされたターダノは、なんとなくだが、父と母に対して、今後はあまり驚かせるようなことはしないようにしよう!と涙を浮かべながら誓うのであった。
ちなみに、天使から勝手に託された神器は【ファルシオン】といい、ターダノが使い続け世に知らしめたことで、至高の神器として有名になることは、今の時点で誰も知る由がなかった。
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