手紙
黒対白華
最初で最後の手紙
出来損ないでごめん
生まれてきてごめん
生きててごめん
なにも出来ない無能でごめん
君の時間をうばってごめん
そう綴り始められていたその手紙
僕には読む資格はあるのか
いや…ないだろう
彼女を傷つけ終わらせてしまった僕には…
そんな僕はこれ以上
読む勇気がなくて
読める覚悟がなくて
僕は理由をつけて彼女が僕に向け遺した手紙を
いつのしか引き出しの奥の誰にも見せない秘密の場所に隠していた
ある夜に何かに導かれるようにその手紙を取り出し
読み始めた
『出来損ないでごめん
生まれてきてごめん
生きててごめん
なにも出来ない無能でごめん
君の時間をうばってごめん
…』
と書き綴られている文字を読み苦い記憶を思い出し再びしまおうとしたが
何かがそれを許してはくれなかった
仕方なく続きを読み始めた
『なんて言ったらきっと君は私にそんな事ない、とか君がいてくれたからって言って泣いてくれるんだろうなって思ったんだ
この手紙を読んでる頃には私はきっとこの世界にはいなくて君を苦しませて悲しませてるのかなって思うんだ
ごめんね、先に言えなくて
でもね、君と過ごす日々は私が失った色、光、色んなものを呼び起こしてくれた
こんな形でしか言えなくてごめんね
私が消えたのは君のせいじゃない
私の身体のせい
だから追い込まないで
ずっとあなたを見守っているね』
読み終わると上の方から優しい光が僕にあたり
彼女が微笑んでくれているようにみえた
拙い言葉でも僕は彼女に思いを伝えたくて叫んだ
┏
愛しているよ!いつまでも、来世でも!
┛
次に見た眠りは幸せな夢だった
手紙 黒対白華 @kiminokoe
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