第2話 手助け

「おい、そこのお前ら。今何時だと思ってんだよ!朝に誘拐なんてなかなか見ない誘拐犯だなぁ」


俺は誘拐されそうになる女の子を見過ごす訳には行けないと思い、細い抜け道を通り誘拐犯の元まで行く。

道はかなり細く一方通行のため戦闘はかなり不利であり向こうの人数は2人、戦闘になれば1体1になる可能性があり片方が女の子を連れて行く可能性が大いにある、どうにかして女の子を助けよう……


こうして劍は誘拐犯を自分に集中させその間に女の子を逃がそうとする作戦にした。


「おいおい?お前誰だよ?殺すぞ」

「すぐに殺すとか言うなよー、釣れないなぁ!」


なんとかして逃がさないと……でも片方の奴しか話さないから両方同時に意識を集中させるのは無理なのか……


「貴様、その制服は獅羅雲学園の制服か……この女と一緒か」


俺が獅羅雲学園ということは大体わかるはずだがまさか襲われている女の子まであの戦闘学園の獅羅雲学園とはな。

あの学園に通っているなら普通はある程度の戦闘が出来るはずなのにどういう事だ?


「おい、貴様。とりあえずその子を離せ」

「無理だな、この女は上から必ず捕まえてこいと言われてるんでな」

「なら無理矢理にでも奪うしかないってことか」


本当は学園外での戦闘はダメだが襲われてる子を見過ごす訳にも行かない。

やるしかないのか……


劍は学園外の戦闘で規則違反になる事を恐れ少し戸惑っていると敵の片方が剣を取り出しながらこちらに速攻を仕掛けてくる。

そしてその間に無理矢理、もう片方の男が女の子を引きずり連れ去ろうとしている。


速攻かよ!ちっ!


「戦闘に卑怯なんてないよォ???さっさと死ね!」

「すまないが今は死にたくないんでな」


煌陽剣リターソウル、お前の力を使うのは久しぶりだな。

今回も派手に使わせてもらうぜ。

日がでるなら煌陽剣リターソウルと俺の出番だ……


「行くぞ、炎舞えんぶ陽炎ようえん!!」

「なっ、貴様……」


劍は敵の速攻をギリギリ避け右手に持っていた煌陽剣の反動を使い、逆回転しながら敵の背中に煌陽剣の技、炎舞えんぶ 陽炎ようえんを使い敵の背中から炎で焼きつくそうとする。

だが敵はもちろん素人では無いので振りかざしていた剣をすぐに背中に移動させ、劍の攻撃を回避する。


「くっ……」

「なかなかやるな獅羅雲の少年、だが甘い」


敵は剣を背中に回して、速攻をして体が前傾になっているのにも関わらず、すぐに体勢を立て直し劍の腹部を狙い、突き刺そうとする。

そのスピードは劍にも反応できないほどのスピードであったがもちろん劍がそんな所では終わらない。


「俺一人の力であれば大したことはない。だが俺だけでないのなら俺は強くなれる」


その瞬間劍は煌陽剣を手から離し目をつぶる。敵は観念したのかと思い少し力が緩んだ。

だがその瞬間、その時に事件は起こった。


煌陽剣リターソウル……炎撃えんげき 四連撃よんれんげき


劍はそう言葉を放つと再び地面に落ちかかっていた剣を握りしめ、目を開き、敵の回避しきれないスピードの攻撃を見事かわす。

更にかわした次の瞬間に敵の腹部に劍の剣、煌陽剣がありその剣は炎に包まれていた。

炎に包まれた剣、煌陽剣はそのまま敵の腹部に一撃、更に煌陽剣の反動で逆回転し、後ろ向きからの一撃を喰らわす。

最後に細い道ではあるが少し日が照らさられている所に剣を振り上げ、上から一撃、敵に攻撃を与えた。


「き、貴様……何者だ……」


敵は意識がもうろうとしながら喋りかける。

流石に何も返さない訳には行かないと咄嗟に思ってしまい自分が思っていない言葉が口から出てしまう。


「俺は本当の自分を求める者だ……」


その言葉は懐かしい言葉でもあり誰かから聞いたような言葉がある何とも表現しにくい言葉であった。

だがそれを考える暇などなく、すでに女の子はもう1人の男に連れ去られようとしていた。

実に片方の敵とは5秒程の戦闘だったため、もう片方の敵はそこまで離れていなかっためすぐに追いかける。


「待て!炎光えんこう 火速かそく


劍は速攻系の技を使い走るよりも早く敵に辿り着き、その上で攻撃を繰り出そうとする。

女の子を盾にされるとかなり危ないが、先程の会話を聞いていれば連れ去るのが目的であるため一概に盾にする事は無いだろう。


「ちくしょー!!!!邪魔しやがってぇ!!」


敵は任務失敗を確信したように怒り狂い女の子をその場で投げ捨て剣をだし劍に向かって速攻をかけてきた。


「一番敵が弱くなる瞬間というのは怒った直後の無防備な速攻である。この言葉は俺の父さんの言葉だ、覚えておけ」

「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ……お前にお前に何なわかるんだ!!!」


知るわけねぇーだろが。

お前の事情なんて知るか、こっちの事情を聞いて欲しいくらいだわ。

しかも父さんの言葉を聞けよ、だから無防備のがら空き速攻何だよ。


炎撃えんげき 四連撃よんれんげき すまないが終わらしてもらうぞ」


敵は咄嗟の速攻だったため体がかなりの前傾姿勢になっており剣もうまく固定位置で握れておらず、すぐに剣を吹き飛ばせるぐらいの力で持っている事が分かったので四連撃の一撃目は敵の剣を弾く事にする。

普通なら作戦は敵にバレないようにするのが基本だが今回に関しては敵は怒り狂っているため俺の作戦は考えていないはず、そのためいかにも分かりやすいような攻撃で敵の剣を弾く体勢を取り、敵の剣が自分の頭と2m程のところまで来たら煌陽剣を横に振り上げ、敵の剣を飛ばす。


「き、貴様!俺の剣が……」

「ここからは煌陽剣と俺の番だ」

「や、やめろぉ!!!」


こうして見事三連撃が決まり敵を制圧する事が出来た。今回はかなり久しぶりの戦いだっためかなり緊張と不慣れを感じたがなんとか勝つ事ができ満足した。

だがもちろん学園外での戦闘は規則違反でたり見つかったら罰がある為、男2人をすぐに拘束して女の子を連れ逃げるようにした。

正直男2人は敵の仲間に助けられるかもしれないが今回は仕方がない。


だが……


「そこの貴方。何逃げようとしてるの?」


その声は明らかに女の声であり逃げようとしてるの?という言葉から敵の仲間ではない事は分かるがそれでなければ残りは大体1つに絞られる。

そう学園の誰かである。


劍は恐る恐る後ろを振り向き誰か確認しようとする。

だがそれを感じた女はすぐに「貴方、この状況を説明しなさい」と追い打ちをかける。

かなりビビっていて冷静な答えが出来ずに固まっている劍を見て連れ去られそうになった女の子がその女に向かって話しかける。


「この人は私を助けてくれた恩人です……」


初めてその声を聞いた時、俺は思った毎日どこかで聞いた事のある声だと。

まぁそれより今は女の子のおかげで……


「貴方に話しているのでありません。そこの獅羅雲学園の男子生徒に聞いているのです、先程少し拝見しましたが学園外での戦闘は規則違反です」


劍は間違った事をもちろん自覚しているのが近くに困ってる人がいて力があるのに助けないのはあまりにも辛すぎる。

この気持ちは誰にでもあるものであり誰でもそうすると思い込んだ劍は質問してきた女に強気の言葉を返す。


「目の前に困ってる人、助けを待ってる人がいて力があるのに助けないのは間違ってます。俺は少なくとも今回は間違ってないと思います」


劍はやっと自分の気持ちを伝える事ができ、少し自信が湧いてきたのか女の方を見る。

その女は獅羅雲学園の制服をきた超絶美人であり明らかに強そうなオーラを放っていたのである。

強そうなオーラを放っている美人生徒の女は少し怒りながら劍に向かって口を開く。


「貴方は確かにあってるかもしれない、だが規則は規則。助けを求めていた人がいても規則は破ってはダメだ、一流の剣士というものはありふれた規則や法律の中で人を守るのだ」

「なら一流じゃなくてもいい、目の前に自分の力で助けれるのなら」

「君は分かっていない、自分の力に自惚れるな!世界からしたら大したことの無い力で何が救うだ、何が助けるだ!目の前の敵が自分より強ければどうする?絶対に勝てない敵であればどうする?無策で挑むか?それとも自分が勝てる事を祈るか?それともその時だけは逃げるのか?大して人を救った事の無い人間が偉そうな口をきくな」

「くっ……」


何も言い返せなかった。

俺の救うは確かに不完全だ。

この女の言う通りだ、人を救うという事は人の命を授かっているのと一緒だ。

不完全で挑めば命が危ない……俺の行動は間違っていたのか……


「少年、名前は何だ」


劍は驚いた顔をして女の方の顔を見る。

叱られ愚弄され何も言わずに去るかと思っていた劍だがそんな事は無かった。


「俺は黒崎劍です……」

「黒崎劍……1年Sクラスか。そっちの女の子の名前は?」

「わっ私は赤坂舞あかざかまいです」

「いい名前よ、怪我はしてないかしら?」


明らかに態度が違うのはまぁ納得がいくようでいかないがそもそもこの女が誰なのか聞かなければならない。

劍はは少し怖かったが名前を聞いてみる事にした。


「す、すいませんが貴方はなんという名前なのですか?」

「私は青未明音あまみあかねよ。一応獅羅雲学園の生徒会長よ」


えっ……まじかよ

生徒会長って……

俺の罰ってどうなるだよ、反抗もしたし絶対酷いじゃん


登校初日で規則違反をして生徒会長に逆らう主人公であった。





《あとがき》

ここまで読んで下さりありがとうございます!

毎日4時配信にしようと思います。

かなり文量が増え、技名とキャラ名も増えてくるので毎日投稿できない日もあります。

その時はすいません!

近況ノートでその時は報告させてもらいます。

そして前作のFgは最初はあまり面白くないシーンが多々あったので最初からギャグあり、戦闘あり、ハラハラドキドキありの緊張が止まらない小説を書いていきます。

正直これから色んな意味でやばくなりそうなので今後に期待を


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