ヒーロー
「キャア! 離して!」
私は目を瞑っていた。
言葉では抵抗していてもやがて訪れる結果は変わらないと諦めていた。
せめて何も見ないで全てが終わって欲しくて目をギュッと閉じていた。
しかしその最後の瞬間はいつまで経ってもこない。
おそるおそる目を開くと男が仁王立ちをしていた。
「あぁ……あなたは」
「俺は名乗る程のもんじゃねぇさ」
「でも」
「ヒーローは人助けしてなんぼだろ?」
町の中。怪人の現れるこの世界で他人を助けることは自分を犠牲にすることと同義である。
しかし人知れずヒーローは存在し嘘か真か分からない噂は絶えず流れている。
自称ヒーローと他称ヒーロー。
彼らは別ものとして噂されるが同一人物だったのだ。
目の前の彼がまさに自らをヒーローと呼び、人を助けるヒーローなのだ。
「さあ、嬢ちゃんあまり動くなよ。ここで騒げばウヨウヨとやってくる。しばらくはジッとしとくんだな!」
ヒーローはそう言うと円形に囲んできた怪人たちを一人で相手にした。
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