第1話裏切り.1-1


重たい体を起こし僕は朝の準備に取り掛かる....

ああ....いつもと変わらない朝だ


「さっさと支度を済ませて職場に向かはない と....遅刻する」


だが僕は動く気がなかった。

朝はつらい!!

出来る事なら何もせず、だらだらと寝て過ごしたいのだが...

それが許されないのが現実というものだ。

そんなことを考えつつ僕は支度を済ませていく。

あとは朝食をとるだけなのだが....

正直朝は食欲があまり湧かない、

でも仕事に集中できるようにするため仕方なく食べることにしている。

朝食を食べているとようやく脳が覚醒してくる。

(人間は噛む事で脳が活性化される)


「ああ....今日も人が多い電車で移動しないとい

けないと思うと憂鬱だ....

ん、待てよ....そうだ!

今日は辛くない!

今日からあの満員電車とはおさらばじゃないか!!」


僕はウキウキしながら家を出た、

駅に向かうのではなくガレージのほうの向かった。

うちには前からガレージはあるが肝心の車がなかった。


「だけど今日からは違う!


なぜなら....車を買ったからだ!!!

 

しかも新車だ!!!」


値段はそれ相応にしたが愛車を買うのは夢だったためかなり奮発した。   

僕は夢だった車を購入する事ができ、

愛車で会社に向かうことができるようになった。

いつもは電車通勤のため早く家を出ないと行けないのだが、今日から車で出勤するため

いつもより15分遅く家を出ることができた。

朝の15分はかなり重要、なぜなら

睡眠、朝食、などなど色々な時間に当てる事ができる。   

さらに出勤は車、これで苦痛な満員電車、駅まで行く体力、が温存できる。

しかも車で寝る事もできる、車生活は快適最高だろう。

因みに自分では運転はしない。

だから運転手を雇って僕は後部座席に乗り優越感に浸る。

なんで運転しないかって?

皆んなは思うだろう、お金の無駄、贅沢豚野郎とか色々、だがこれだけは言わせてくれ、

僕は豚ではない。

クソ野郎、だとしても豚ではないと。

本題の理由なんだが、ただ優越感に浸りたい、

それだけなんだよね。

運転が嫌い、出勤時の満員電車がストレス、 

楽がしたい、これだけ聞けばただのクソ野郎だ。

だが僕は医者、なるだけストレスは抱えたくないんだよね。

ただでさえ毎日ストレスが溜まるのに...

朝は楽がしたい、金持ちの優越感に浸る。

これに尽きる、僕は最高の気分で運転手が開けてくれる後部座席に乗り込んだ。

いつもは満員電車に乗りながらスケジュールの確認や、スマホをいじるのだが今日からは車、

座りながらゆったりと確認ができる。

僕の職業は医者だ。

医者と言っても僕は医師免許を持っていない。

俗に言う闇医者というものだ。

当然職場も普通の職場ではない

相手にする患者は

 

 1.手術不可な人、

 2.借金に追われた人、

 3.表に顔が出せない人達、

 

などといった訳アリの人たちだ。

後はあちら関係の人達かな、

無免許医が働くとなればまともな人達を相手にすることはできない。  

だから僕も狙われる可能性もある。

だから必然的に、色々な場所に拠点を構える必要があった。


その拠点の1つが桐頓堀、(とうとんぼり)


今日はここで手術以来がある。

今回の患者は末期癌だ。

手術不可なレベルなんだよな~

成功した振りをして誤魔化そうかな

替え玉を用意すればワンチャン....


「はぁ~、一応カルテを見るだけ見てみるか、 

 ん、こいつは!

 なんでこいつが、

 噂では死んだとばかり、、

 確か青龍会傘下の組織の組合員名前は確か、 

山田?、

 あの事件後本人は死んだが、本部昇格を果  

たしたとかどうとか...

 本部が山田のことを隠していたのか?

 死んだ事にしないと困る事があったのか、

 まぁ、いいとりあえず会社(病院)

 に行くか」


僕はポケットから携帯を取り出し助手に電話した。

 先「もしもし、生野君かい?」


 助「はい、そうですよ先生、

  おはようございます、

  どうしたんですか?」


 先「おはよう、今日青龍会傘下の組織の

   山田が来る予定だったよね?」


 助「一応その予定ですけど、

   あいつは死んだはずでは?」


 先「いや、実は生きてたみたいなんだよね、

   本部からの連絡だから間違いはず、

   今回は危ないような気がするから

   気をつけるように、

   一応病状は末期癌らしいが...」


 助「気がするですか...

   何かが裏で動いてると言う事ですか?」


 先「それはまだ分からない。

   もしかしたら

   殺せと言われるかもしれないな...

   (後で本部に連絡してみるか。)」


 助「はい、分かりました、先生。」


だが、末期癌って言っても山田はまだ意識もあるし歩く事もできるみたいなんだよな。

だが死期は近い、

このカルテを見る限りでは、

はぁ、いつになればまともな依頼が来るのか。

でも普通の依頼なんて来るはずがないんだよな、医師免許持ってないし。

料金はそれなりに取ってるからね。


「依頼料は(口止め料込み)

500万円からと高額である。

だが、お金のない人に高額請求しても払えない。

だからその時は自分の財産を売って金にさせる。

それで命が助かると思えば安いと思わないか?

 まぁ、こんななやり方をしてきた。」

 

まぁ、僕は闇医者、だから金額も高額になるのは当たり前、

それを承知で皆んな僕に依頼をしてくる。

なんで闇医者ができているかって? 

それは簡単、青龍と白龍の専属ドクター顧 問をしているのさ。

だから警察も見て見ぬ振り。

警察は青龍と白龍の事に関しては一切口出ししてこない。 

その代わり最初がかなり大変だった。

借金をし、休みも無かった。

ずっと働きっぱなしだ。

色々拠点も必要だったし他にも色々と...。

そんな事があり助手には色々苦労をかけた。

時には日をまたいで仕事をしたり、

1日の労働時間が16時間にも及んだり、

睡眠をロクに取らず手術に明け暮れる日々もあった。

しかもまともな給料も渡す事ができなかった。

だが今日から全て変わった。

なぜなら借金全額返済したからだ。

これで無理のない仕事量に調節できるようになるし、まともになる。

だから僕は車を購入できる身分となれた。

助手はよく尽くしてくれた。

1つの問題点を除いて言う事はないが...


(助手は頭も良く、

 凄く気も効いて、かなり頼りになる。

 助手兼マネージャー級のレベルだ。

 言うことは何もないのだが...

 助手がここに来たのは約3年前、

 僕が借金をしてここで仕事をし始めた時だ。

 最初は普通の子、どこにでもいる女の子と 

思っていたが実は、

 ・・・・・サイコパスだった。

 今考えるとこんな所に来ると言う事は

普通じゃないと思うべきだった。 

まぁ、そのサイコパス振りは後々話すとして

ここ数年でかなり酷くなっているような気がする。

 まぁ、僕の支障をきたしていないから特に

 問題視もしていなが。)


仕事がハードすぎたせいで...

溜まったストレスを患者にぶつける、

と言う異常行動に、

患者は完全に助手の遊び道具となってしまった。 

恐らく今日ここに来る山田もストレス発散のおもちゃとして扱われるだけだろう。

だが、今回はそんな事をされては困る、

助手にはキツく言わなければ。

何と言っても今回は本部司令、

さらに山田とは面識はある。

正直あまり関わりたくない。

しかも今は本部に昇格した事から余計に関わりたくない、

ロクなことしかどうせない。      

色々考えていたら車は職場の近くに来ていたが、渋滞していた。

会社まであと少しの距離、僕は会社まで歩く事にした。


「運転手さん、ありがとう、ここからは歩いて行くよ、

車は職場の駐車場にお願いします。 

僕は運転手にそう告げ、後部座席から降りた。その時凄い高揚感があった。

車を乗り捨てても帰る時には近くに止まってるし、必要な時はいつでも迎えに来てくれる。

あれ、これって・・

タクシーと同じじゃないのか?

専属タクシードライバーを雇った方が・・・

ふとそんなことを思った。

だが待て、

この高揚感はタクシーでは経験できない。

さらにタクシーとは違いこれは自分の車、

なにかあれば自分でも運転できる。

(ほぼすることはないが、) 

優越感にも浸れて最高な気分だ。

そんな事を考えながら僕は職場に向かった。

職場に向かって歩いていると僕はあることに気がついた。

地面に血痕らしき跡があった。

血痕は暗赤色だったためまだ新しいものだった。


「ん? 

 この血痕、、

 もしかして僕の職場の方に続いてないか?

 どうも嫌な予感がする、」

 

急いで血痕を追ってみると、予想通り僕の職場の方に続いていた。

 

「はぁー、どうやら今日は最悪で長い1日に なりそうだ、」

 

恐らくこの血痕は職場に続いている可能性がある。

と言う事は誰かが倒れているかもしれない、

もしそうだったら緊急処置か...

たまには人助けも悪くないか

 だけど朝からしんどい..

 だが仕方がないか患者は待ってくれない。

 僕は走って職場に向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る