初調査8(最終話)

あの後アンケートを回収して僕らは学校から出た。

「やっと終わったね海君」

「いや、まだ終わったない。これからが本番だよ」

そう言って海君が笑った。

いや、僕の中ではアンケートを回収したし後は報告書をまとめて学校と教育委員会への提出で終わりのはずなんだけど、、、

学科の駐車場には渡さんが車を回していてくれた。僕らはそれに乗りこんだ。でもどうやらこの道は走ったことのない道だった。だけど行き先を聞く事は出来なかった。その理由は特別難しいものじゃなくてただ車内の空気が、すごく重く暗かったからだ。

「着いたぞ、新入り」

渡さんの声で起きた僕は寝ぼけながらも車から降り皆んなの後を追った。

薄暗い倉庫のような場所。人気が無く自分の声が反響しそうなくらい天井が高い。

「やぁ、三人ともお久しぶりだね」

海君が声をかけた相手は正樹を死に追いやった三人だ。しかも顔は流れた後で手足はロープで縛られている。

僕は軽くパニックだった。

「えっ!どういう事ですか!これは渡さん!」

焦る僕に渡さんは至って冷静だった

「静かにしろ。そういえばお前この部署がどういう仕事をするのかと聞いていたよな」

「聞きましたけど!今はそんなこと」

僕の耳に破裂音が響いた。その音は一回ではなく3回はっきり聞こえた。

「悪者には罰を与えないとね」

海君の笑い声が倉庫に響き渡った。

彼右手には確かに拳銃が握られている。

「任務は終わりだぞ。帰って報告書をまとめる」

渡さんの声で僕の心引き戻され我に帰ったら

「渡さん!これは一体何なんですか!何の権限があって人を殺してるんですか!それともこれは夢ですか?」

僕の質問責めに渡さんは大きなため息を着いて答えた。

「夢なわけないだろ。そしてこれは依頼だ」

「依頼っていじめ調査ではなかったんですか」

後ろからゆっくりと歩いてきた海君が

「いじめ調査とその主犯格を殺す事。まぁ本当はクラス全員とかでもよかったんだけどね」

ヘラヘラと笑いながら歩く海君に僕は恐怖を覚えた。

「やめてくれ、後片付けが大変になる」

いや海君だけでは無い。この会話すらおかしい。人を殺す事が幾ら依頼だとしても許される筈がない。なにも考えられずその場に立ち尽くす僕は前を歩く二人に問いかけた。

「じゃあ!いったいこの部署は何なんですか!掃き溜めじゃ無いんですか!」

僕の問いかけに答えたのは渡さんだった

「掃き溜めはこの部署の人間だけを表すものでは無い。社会全体の掃き溜めを処理する。それが特別捜査課だ。」

「別名特殊捜査処理班だよ!」

海君の明るい声とは裏腹に僕の心はどんどん沈んでいく。

僕はこの日とんでもない所に自分は足を踏み入れたのだと再確認した。






※最後まで目を通していただきありがとうございました!とりあえずこれで一つのお話は完結にさせていただきます。シリーズのようにまたこのお話の続きを書いていこうと思いますのでその時はまた是非読んでいただけると嬉しいです!ありがとうございました😊


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警視庁特別捜査科 siro @siro125

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