初捜査7
佐々木麻奈によって事件の全貌が明らかになった。安藤さんからいよいよラストスパートだから思いっきり暴れていいよとのお達しがあり海君はノリノリなだけど。
「こんなやり方でいいのかな?」
「もはやこれしかないでしょ」
僕らの手元には一つのUSBメモリーが手元にある。逆を言えばこれしかない。だがこのメモリーにはこのクラス全員の個人情報が入ってる。これを脅しに使うほかないと彼は考えたらしい。教室の扉に手をかける。みんなの視線は一気に僕らに注がれる。それもそのはず今日の僕らは制服じゃなくスーツだから。
そして生徒ではなく捜査員であるから。当然の如くクラスはざわめきだす。そして海君が手を二回叩いた。
「はい!皆さん席について」
クラスのざわめきは一斉に静かになった。
「これから皆さんに紙を配ります。」
海君の指示通り僕は紙を配布していく。
「それではこれから皆さんにはいじめアンケートに答えて貰います。」
海君の言葉にクラスはまたざわめきだす。
「このクラスにいじめがあると思う者は正直にその紙に記入しろ」
海君は声を荒げた。
クラスは一瞬の内に静まり返る。
「見ての通り今日は君らが恐る御三方は欠席だ。好きな事を好きなだけかけばいい」
誰のペンも動かなかった。クラスのみんなが下を向き誰一人としてプリントには触れなかった。
「しょうがないな。皆んながここまで我慢強いとは驚いたよ」
そう言いながら内ポケットから写真を出し一人ずつ席を周り配り始めた
「君たちはどうやら弱みを握られていたんだね」
「なんでこの写真をお前らが持ってるんだよ!」
一人の生徒が立ち上がり声を上げたするとそれは連鎖するどんどん他の生徒も声を上げた。写真を渡されて驚くのも無理はない。だってその写真は夏ちゃんが海君が潜入の時に連絡先を交換した人から順にハッキングをかけあの三人のスマホに侵入し手に入れた物だ。
「これだって十分な脅しだろ。やってる事はあいつらと変わらねぇじゃん」
「そうだよ!そんなの卑怯だよ」
どんどんと海君と僕へ罵声が続く
「卑怯。卑怯なのはお前らだろ。裏切ったんだろ清水正樹を。牧野さん動画流して」
僕は海君か言う通りUSBをパソコンに繋げ動画を流した。そこにはあの三人に殴られ続ける正樹君が写っていた。そして動画の中の正樹君は動かなくなった。
そのまま動画は終わった。
「この動画はお前が撮ってたんだな」
そう言って目の前の男子生徒を指差した。
彼はバツが悪そうに目を逸らした。
僕は言葉を並べた。
「彼はこの後屋上から飛び降りて死んだ事になった。でも実はもう彼は殴られた時点で死んでいた。だからそれを隠す為に屋上から彼を落とした。救急隊が現場に駆けつけた時、殴り傷のある彼の死を不審に思わなかったのは数名の生徒が彼が飛び降りるのを見たと言う証言があったからだ。死体自体も見るに耐えない有様だったからそこまで詳しくわ調べられなかった」
海君は全員を睨むように見た
そしてゆっくりと口を開いた。
「清水正樹は佐々木麻奈を助ける為にお前らに協力を持ちかけた。それは彼女を救う事でお前らの事も救ってやれると思ったからだ。彼は別にあの三人に弱みを握られていたわけじゃない。だからお前らみたいに見て見ぬ振りだってできた。だけど彼は彼女を助けかった。だから同じような境遇の奴らで固まって作戦を立てればこの状況を変えられると思った。だけどお前らがそれを三人にリークした。その日から彼はお前らから酷いいじめを受けた。勿論あの三人だって容赦はしなかった。その挙げ句、彼は死んだ。お前らが殺したんだよ。お前ら全員人殺しなんだよ」
彼の言葉は教室中に響き渡った。
「さぁどうする。いやどうすべきだと思う?お前らに出来る事は一つしかない、その紙に真実を書く事だ」
それからゆっくりとペンが動く音がした。静かに黙々とペンと紙が擦れる音だけが教室になっていた。
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