初調査3
あの日から僕は高校生になりました。
いじめ調査をするべく転校生という名目で彼の通っていた学校に潜入調査をしている。一緒に潜入している海君は慣れているのか何の戸惑いもない。もはや本当の高校生なのかと思うくらいだ。一方僕はクラスに居るだけで精一杯に近い。不自然さを出さない様に少し今時のトレンドを調べたり動作を気にしているものの全く馴染めていない気がする。このままでは調査どころか自分が何者かに追放されるのではないかと不安になっていた。
「ねぇ、なんか分かった?」
後ろからやけに高校生が板に着いた海君が僕に話しかけてきた。
「全く、というかもうやだよー。耐えられない」
「そんなんでどうする新人!頑張れ!」
僕らがコソコソ後ろで話しているのを先生が目を光らせた。
「おい!そこ何してる」
僕は咄嗟に言葉が出なかった。
「すいません!今日ちょっとコンタクト忘れてきちゃって板書見えない所見せてもらってて」
「あぁ、そうか。次から忘れてくるなよ」
「はい!きおつけます」
チラッと後ろを向くと海君がセーフと手を動かしていた。内心かなり助けられた僕の心は注意された時点でアウトだったからだ。海君のおかげで一瞬ピリついた空気も一気に和んだ。周りの女の子達からの海君の事が聞こえる。"海君ってコンタクトだったんだ "眼鏡も見てみたいよね" 流石だ。潜入3日でここまで心を掴めるなんて普通に出来る事じゃない。確かに薄く茶髪がかった髪に白い肌目はパッチリ二重で細身身長も高過ぎず低過ぎずその容姿でモテない訳がない。部署では僕の事をよく馬鹿にしてくるただの少年だが此処では中々のイケメン高校生だ。そんな事を考えていると授業が終わりチャイムが鳴った。
それと同時に一斉に皆んなが教室から出て行った。目的はおそらく購買だろう。そして振り向くと後ろの海君の姿も無かった。彼はもしかすると本当の高校なのかもしれないと僕が彼を疑った。
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