初捜査

この部署に配属されて早一週間。

特にやってきた事は資料整理と過去の事件の遺品整理。淡々と業務をこなす要さんそしてほぼ遊んでるに等しい海くん。パソコンに無数の数列を並べて操作をしている夏ちゃん。そしてそれを楽しそうに見ている室長の安藤さん。ここは一体どういう意図があって作られたのだろう。ここの本職何なのだろう。

「どーした。手がたまってるぞ新入り」

「あっ、あの此処ってどういう部署なんですか?特別捜査課って言われる割には特に捜査なんてしてないですよね」

僕の顔を見ずに手はパソコンに預けたまま答えた。

「この部署が他の連中になんで呼ばれてるか知ってるか?」

「えっ、別名があるんですか?!」

海くんが今にも笑いだしそうにこちらを見た。

「まさか知らないの?」

「こりゃ可哀想にね」

夏ちゃんもこの話に加わった

「知らないなら教えてやろう。掃き溜めだ。」

「掃き溜め、、、」

僕の肩に海が手を置いた

「各部署から厄介払いを受けた奴が集まる場所。此処に来た奴は本当は首を切ってしまいたいが正当な理由もなく職員解雇なんて出来ないだろう。だから此処に移動させて辞めるのを待つってとこ。ちなみに牧野さんの前の人は三日で辞めた。」

ここまで流暢に説明されると何も言えなかった。自分がいらない存在。念願かなって刑事課に配属されてたった三か月でも幾つかの事件を担当させてもらえた。そこで大きな功績を残す事は出来ずとも事件解決の為寝ずに張り込み、靴がすり減る程聞き込みをし捜査資料は穴が開くほど読み込んだ。そうやって一つずつ仕事をこなしているつもりだった。だがそれが全て無駄。僕が一体何をしたと言うんだ。

「まっ!でもいいじゃない!掃き溜めでも私達の出来る事を精一杯やれば!」

この淀んだ空気を変えたのは安藤さんだった。

「皆んなに新しい任務よ!」

皆んなの顔つきが変わった。一斉に安藤さんの方へ明るい眼差しを向けた。

「やっと仕事だ!」

海くんが目をキラキラさせた。打って変わって掃き溜めと言われた僕の心はボロボロ。

「今回はいじめ調査よ!」

「いじめ調査、、、」

また僕の頭は鈍器のようなもので殴られた様な強い衝撃を受けた。

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