新入り

「安藤さーん、今日から新入りが来るんでしょー?」

「そうだよ、だからちゃんとそこの席掃除しておいてね」

今日はやけに朝から賑やかだ。

その原因は新入りが今日からこの場所に配属になるかららしい。

コンコンと誰がドアをノックする音が聞こえた。ゆっくりドアが開くさっきまでの雑音が消え皆がドアに視線を寄せる。ゆっくりと顔を覗かせる様に入ってきた少年は手にダンボールを抱えて息を吐いた。

「本日付けで特別捜査課に配属になりました牧野裕です。宜しくお願いします。」

ニコッと笑顔で笑うと拍手が聞こえた

「ようこそ!特別捜査課へ!」

パーンとクラッカーが鳴った。何処の会社に社員の移動でクラッカー鳴らす会社があるのだと問われればきっとそんな職場ここしか無いだろう。

「じゃあ自己紹介しょう!えっとーじゃあ私から私はここの室長を務める安藤友香。一応ここの課の責任者。と言っても名前だけだからそんなに緊張しないでなんでも聞いて!」

「俺は松方海!多分年は下だけどお前の先輩だから宜しく!」

「私は柚木夏。宜しくね〜」

こんなにも間髪を入れずに行う自己紹介があるのだなと感心の域だ。そして確実に新人君は名前を覚え切れていないだろう。

「ほら次は貴方の番よ」

軽く肩を叩かれようやく自分の番だと気づいた。

「えっと渡要だ。宜しく頼む」

「宜しくお願いします!」

元気そうな声が帰ってきた。

「えっと牧野君の席は要君の隣だから。それと牧野君の指導係は要君だから」

「はぁー!なんで!」

「だって隣の席じゃない。宜しくね」

僕の隣に座る牧野君は笑顔で僕に宜しくお願いしますと頭を下げた。

僕は静かにため息をついた。




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