第22話 チ・ンコ包囲網を破れ
【カスミver】
見えないブロックから何かがムクムクと生えてきました。
『パワーアップキノコだ!食え』
ビーチくんがそう叫びます。まさか現実でそんなものが生えてこようとは思いもしませんでした。インスタ映えはしなくとも、キノコは生えるんですね。私は興味を持ってキノコを観察します。でもあれ?これってキノコじゃないような?
「ギャーっ!?」
私は思わず絶叫してしまいました。
「チ○コです!!これキノコじゃないです!チ○コですっ!」
さすがにあり得ないです。チ○コが生えてくるなんて。インスタ映えならぬ、チ○コ生えとかどう考えても、おかしいです。
「ばか、チ○コの訳ないじゃん?早く食べろって」
モモ姉さんが変なプレッシャー掛けてきます。
「いやいや、チ○コです。モロチ○コです。絶対チ○コです」
興奮してついチ○コチ○コと、連呼してしまいました。あ、興奮したのはチ○コ見たからですけど性的なナニとは違いますからね?
あろうことかそのチ○コはむくむくと勃った後、スルスルと前に滑り始めました。
「あーっ、チ○コが逝っちゃうーっほら、早く食べないと」
「今、チ○コって言っちゃいましたよね?」
「あ、間違えた。キノコだキノコ。ほら、たぶんマツタケだよ、アレ」
一応、私は滑って行くチ○コに走って追いついて、顔を近付けてみました。
「げほっ、……イカ臭いですっ!マツタケじゃないですっ」
「ああ、だよねー」
モモ姉さんはなんかニヤニヤ笑ってます。
「わかっててやらせないでくださいっ!だいたい、アレ本当に食べたらどうなるんですか?」
「ん〜、そりゃ、大っきくなるんじゃないの?」
「体が、ですか?」
「いや、腹が」
「……それ、できちゃった的な?」
「だね」
「いや、そこは否認しましょうよ?」
『うむ。まあ、避妊しなかったからできちゃったわけだな。フハハハハハ』
人はこうして、殺意をつのらせて行くんですね。
◇
その後もいろんなチ○コが生えてきました。
赤いのやら、黄色いのやら、左に曲がったのやら、皮付きなんてのもありました。通路にチ○コが生えて、前に滑っていく様はとても不気味です。いい加減にして欲しいです。この世界観はどこまで続くんでしょうか?
と、思ってたら前方に大きな穴があり、向こう側までは10メートルほど開いてます。穴の底は見えないくらい深そうです。
「これ飛び越えるの無理じゃないですか?」
「だからチ○コ食っとけって言ったのに」
モモ姉さんはもはやキノコと言わず、堂々とチ○コと言っちゃってます。
「やですよ。ならモモ姉さんが食べたらいいじゃないですか」
『そうだ。多分、珍味だぞ?チ○コだけに』
「うっさいわ。つか、生チ○コはちょっと嫌かなぁ」
人に散々勧めといて、何言ってるんでしょうか。てか、生チョコみたいに言わないで欲しいです。
「生じゃないチ○コなんかあるんですか?」
「皮剥いて焼酎に漬け込んだら案外いけるかもしれない」
なんか路線が変わってきてる気がしますが。
『ふむ、むき焼酎「いいちンこ」だな』
「下町のナポレオンみたいに言わないで下さい」
「あ、そーいや、前から思ってたんだけどさ?」
モモ姉さんがこういう言い方した時は大概、ロクな事を言いません。
「ワカメ酒ってあるじゃん?」
「成金のオヤジが宴会でコンパニオンにやらせるヤツですか?」
「そうそう。あれを最初に『ワカメ酒』って命名したヤツってさあ、多分もずく食った事なかったんだろーね」
「止めてください。もずく酢が食べられなくなります」
ほらやっぱりロクな事言わなかったです。
『谷間酒ってのもあるらしいぞ?』
このおっぱいはなんでそんな事知ってるんでしょうか?昔、芸者さんはべらせて遊んでたんでしょうか?
「谷間に注ぐの?あー、それ有りだね?」
モモ姉さんがなぜか私を見ながら言ってきます。
「いやです。絶対やりませんから」
「まだ何も言ってないんだけど」
「わかりますっ。私にやれって言うんでしょ?」
「いや、あんたならできるなぁって。貧乳だったら出来ないんだからさあ、出来るって事に誇りを持たないと」
「なにちょっとイイ話みたいにすり替えてんですか。そんなの出来なくていいです」
「あのさ、おっぱいはどうして前についていると思う?
前のめりに進んでいくためだよ?」
「いや、それ『目はどうして前に付いてるか』ですよね?『前向きに進むために』ですよね?って、ここにきてドラ○もん出してきます?その理屈だと貧乳は前に進めないじゃないですか」
「まあ、おっぱいあって良かったねって話だよ」
モモ姉さん、いい加減飽きてきたのか、まとめ方がめちゃくちゃ雑です。
『あ、おい、あそこに入れそうな土管があるぞ?』
と、まるでタイミングを計ってたかのように、ビーチくんが声を上げました。
「いや、あの土管、最初から見えてたじゃん?何、今気付いたみたいに言ってんの?」
『内情をばらすなよ。段取りというモンがあるのだ』
「じゃ、サッサと入りましょうか」
私も飽きてきたので雑です。
『うむ、ではカスミ、行ってこい』
「はあ⁉私1人で行くんですか?行くときは一緒じゃないんですか?」
「あ、先にイッていいよ。とりあえず一回イッときな?」
「その、ベッドの上で無駄に主導権握ろうとする男みたいな言い方、止めてもらえます?」
その時、どこからか女の人の声が聞こえてきました。
「お前ら、サッサと来んかーっ!」
【優月ver】
結局、小野さんをウチに連れて来ちゃったよ。
喋るポコさん見られちゃった訳だし、あんな人目につく場所でチ○コの説明とかできないもんねぇ。
「あ、どうぞ、そこ座って?」
姉ちゃんがリビングのソファに案内して言う。
「はい、お邪魔します」
小野さんはちょこんと遠慮がちに座った。
「気を使わなくていいよ?僕と姉ちゃんしかいないから」
もう1人というか、1匹いるけどね。
『優月ちゃん、優月ちゃん』
そのもう1匹が僕の胸元から声を掛けてきた。
「何?ポコさん」
まだ小野さんに説明してないから、今出てきたらややこしいんだけど。ほら、小野さんが何か聞きたそうにコッチガン見してるし。
『……』
「はぁ?何言ってんのさ?」
「どうしたの?」
うわっと、油断してたらまた小野さんが近くに来ようとしてたよ。
「あ、小野さんは座ってて」
小野さんを制止しつつ、僕は洗面所へ向かった。
洗面所でポコさんが顔を出してくる。
『いやあ、さすがに小野さんに会う前は身を清めたいですから』
「うん、まあチ○コだしね」
自分がチ○コだって自覚あったんだね。
僕は洗面器にお湯を入れてやった。
水で洗いかけたら、お湯にしろとか贅沢ぬかしてきたからね。
「さぁ、洗ってください」
ポコさんが洗面器のお湯に浸かりながら言う。
「あ、僕が洗うんだ?」
「そりゃ君のチ○コですから」
何か納得し難いものがあるけど、まあいいか。ボディソープ付けて洗ってやる。
「……ああ、気持ちいいです」
「いや、変な声出さないでよ?マジで引くから」
ホントにこんなの小野さんに会わせていいのかなぁ。チ○コだしなあ。
あんな美少女に自分のチ○コ見せるなんて、変態だよね?そう考えたらなんか恥ずかしくなってきたよ。
◇
「えーっと、これがポコさんです」
小野さんと姉ちゃんが見てる中、僕は胸元からチ○コを出した。前に出した僕の掌の上からポコさんがピョンっとテーブルの上にジャンプする。
そのままひょこひょこと小野さんの前までいく元僕のチ○コ。
小野さんは可愛らしい目をいっぱいに見開いて固まってた。
「どーも。お初にお目にかかります。わたし、ポコさんと言います」
そう言いながら中折れする。あ、お辞儀か。
「自分でさんつけるなよ。それにアンタ、またおっぱいに挟まれてたの?」
いきなり姉ちゃんにダメ出しされてた。
「あ、すいません。居心地いいもんで」
亀の頭をポリポリかくポコさん。
「えっと……コレ、チ○コだよね?」
小野さんが唖然としながら言う。
「あ、うん、そーだよ」
こんな美少女がチ○コとか言っちゃうと、ドキっとするなぁ。
「何で喋ってるの?」
「「それが謎なんだよねぇ」」
僕と姉ちゃんでハモっちゃったよ。ちょっと腕組みして考えてたポコさんも
「謎ですねぇ〜」
「「アンタもかよっ?」」
ツッコミもハモってしまった。
「あの、コレ触っていい?」
と、ポコさんに手を伸ばそうとする小野さん。
「え、それチ○コだよ?わかってる?コイツのチ○コだよ?」
と、僕を指差しながらチ○コチ○コと連呼する姉ちゃん。めっちゃ恥ずかしいんだけど。ポコさんは、てへっ、って顔してるし。
「ほんとにチ○コなんですねぇ。興味深いです」
テーブルの上のポコさんをガン見してる小野さん。自分のいけない部分を見られてるみたいで、落ち着かないよ。でも……洗っといて良かったぁ。
と、思ってたらいきなりヒョイと小野さんがポコさんを持ち上げた。
「「えっ」」
小野さんがボソっと呟く。
その一言でポコさんがひと回り大きくなった。
「勃起してんじゃねーよっ!」
姉ちゃんの蹴りが小野さんの手の上のポコさんに見事にヒットして、ポコさんが吹っ飛んでいく。
「ぐぎゃ」
壁に激突したポコさんが変な声を出した。
なんかデジャヴな光景だなあ。
【葉月ver】
結局、小野さんウチに連れて来てしまった。つか、この子、喋るチ○コ見てもあんまり動じてないんだよねぇ。見た目がすっごい美少女なだけに底が知れないわ。
あ、だから水希達にミステリアス美少女って言われてるのか。納得だわ。
「あの、コレ触っていい?」
小野ちゃんがチ○コをマジマジと見ながらそう言う。
「え、それチ○コだよ?わかってる?コイツのチ○コだよ?」
思わずそうツッコんでしまった。昼間っからこんな美少女にチ○コ触らすなて、なんのAV?
って結局、掴んで手に乗せちゃった小野ちゃん。この後の展開によってはあたしが動かないと。
え?かわいいって言った?チ○コをかわいいって言った?オイオイこの子の感性どーなってんの?
って思ってたら案の定、アイツが大っきくなった。このままにしといたらイロイロ危ない。
「勃起してんじゃねーよっ!」
そう叫びつつ、チ○コに回し蹴りを喰らわす。見事にヒットしてチ○コはすっ飛んでった。
うっ、なんかデジャヴ。
◇
テーブルの上に伸びたチ○コを置いといて、優月から話を聞いた。
キタローの体操服疑惑の話はさっき聞いたけどさ、水希(優月)が元々女の子で、母さんの胎内にいるときにコイツに寄生されて、以来男になったってのはかなりショッキングな話だわ。
「じゃあ、やっぱりアンタ、女の子だったんだねぇ」
これはあたしとしては喜ばしい事だな、うん。でも、弟としての水希の存在がこの先希薄になっていくってのも少し寂しい気もする。
「私も、なんで水希くんに惹かれるのか、何となくわかった」
小野ちゃんが意味深な事を言った。この子もなんか秘密がありそうなんだよねぇ。そういう点では、たしかに二人は似てるかも。
だけど問題はまだあるのよね。
「それで、このチ○コみたいなのに寄生されてる人が生徒会関係者にいるのよね?」
「うん、何人かには絞れてきたけどね」
「それってやっぱりチ○コが喋るの?」
と、小野ちゃんが前に誰かがした質問と同じ事を聞いた。
「いや、チ○コに限んないってゆーか、むしろチ○コに寄生したのが珍しいってポコさんが言ってた」
そーいえば、最初の頃に、あの司会者のヅラが寄生されてるって言ってたよね。まあ、あのチ○コの場合、あきらかに性癖絡みでチ○コの道を選んだんだろうけど。
「もしかしたらおっぱいに寄生してて、チクビが喋ったりするんじゃない?」
小野ちゃんがもはやノリノリで言う。
「あ、それ僕も同じ事考えたよ。ポコさんはあり得ない、って笑ってたけどね」
あのチ○コ、よく笑えたな。自分の事を棚に上げて
でもまあ、喋るおっぱいは確かにマヌケ過ぎるなww。
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