明治二年
鎧
―――
俺はどこで間違ったというのだろう。
あの人の背中を、ただがむしゃらに追ってきただけだ。
あの人の理想を形にしたくて、必死に生きてきただけだ。
今俺の周りには誰もいない。あんなにたくさんいた仲間は皆いなくなった。
俺のせいで死んでいった者の魂は、俺の背中にのしかかっている。
それはまるで鎧だ。
俺には一人が似合う。最初から孤独になっていれば良かったんだ。
だけどあのかけがえのない幸せなひとときを知っているからこそ、無性に泣きたくなるのだ。
それでも「鬼」は涙は流さない。そんな資格もない。
奪った命の分も、背負っていかなければならないのだから。
俺は今、北の大地で自分の屍を埋める場所を探している。
一体何処が、こんな罪深い男を葬るのに相応しいというのだろう。
あの人は待っていてくれているだろうか。
あのいつもの微笑みで迎えてくれるだろうか。
……きっと大丈夫。あの人なら。
さぁ、これで準備は整った。後は最後の気力をふり絞るだけだ。
思い切り派手にいこうじゃないか。
皆、見ていてくれ。俺の最期の一振りを……
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