第3話 ~変種悪竜、チェギアクオス~

 森の開けた大地。月明かりの照らすその場所に乱威智は着地し、天高く跳ぶ。


「はぁ……なんでこう考えることが分かるのかしら。ホントイラつくわッ……!」

 優華は溜め息混じりに両手を横に広げる。

 掌から水の玉を生み出すと、両手の五本の指にそれぞれ纏わせる。


 突然ドラゴンの翼と口に、それを覆うほどの大きな水の塊が現れる。

 ドラゴンの翼は水に覆われ、動きが鈍くなる。


 長い口と怒りを燃やす赤い瞳、威圧感を放つ顔も水で覆われ、ゴボゴボと息を吐く。


「ん?」

 普通なら竜種が水の中で息が出来ない事はおかしい。

 本来、自分達の星から逃げた竜は、遥か昔の改造研究によって宇宙でも呼吸が出来るようになっている。


 生態系改造魔法。

 今では全宇宙での禁忌の一つである。

 その場に何もなくても、ある程度酸素を鱗に貯蓄しておける生態へと強制的に進化させられている。


 そもそも竜種は故郷の赤竜神星にしか生息していなかった。となると……


「産んだ……?」

 でも遺伝子は環境によって変化するほどヤワじゃない。むしろ竜程の強い生物の細胞はそう簡単には変化しない。


「変化……まさか!?」

 優華は独り言を呟きながら真実に気付く。


『悪竜の変種で間違いない。長旅の上でその場に適応する力を高め、自身の細胞すらも……』

 神様の通信を余所目にドラゴンは息を吐かなくなり、水の塊を吸収する。



 天がキラリと光る

「はあああぁぁぁ!!!!」

 虹色の多属性オーラを纏った煌めく巨大な剣。

 豪速で落ちてくる乱威智はそれをドラゴンに振りかざす。


 ドラゴンは当たる直前で、口から大量の水を天に吹き出す。

 剣に水の噴射がぶつかり、勢いが無くなる。

 その反動で俺は剣から手を離してしまい、地面に叩きつけられる。


 反動で指の数本が吹き飛び、出血している。

「クソッ!!」

 痛みに耐え、立ち上がろうとする。


「伏せるんだ!」

 ジーニズの声が耳元に響く。

 刀にかかったサタンの魔法は解ける。

 ジーニズが取り憑いている刀の名称、妖刀村正は天に放り投げられた。


 黒い芯の柄に強く巻かれた赤の布、薄い黒で覆われた特殊な刀身。

 それは宙を何度も回転し、地面に落下する。

 ジーニズは落下点の座標を計算していたのか、刀身はピッタリ乱威智の左胸に突き刺さる。


 赤い血が吹き出し、それは黒い血へと変色し……

 乱威智の体は黒い闇の玉へと変わる。

 そしてその玉は人の形を造形し、元の乱威智の姿を生み出す。

 刀は造形中に体から抜かれ、乱威智の横に金属が震える音を立てて着地する。


 ジーニズが取り憑いた村正。それを乱威智に使うことでこの不死身と呼ばれる生き返りを起こす。


 あくまでこれは心刀こころがたなと呼ばれる健常な使い方だ。

 それ以外の方法で死亡すると……


 ドラゴンが自身の体に似合わない小さな腕で、乱威智を瓦割りのように叩き潰す。


 それでも人間を殺すには十二分あるサイズだ。


 ドラゴンの手の下から血が流れるも……

 それは黒く変色する。

 刀の形をした黒いオーラがドラゴンの手を突き破り、一メートル程上に浮かぶ。

 そのオーラは実体化し、妖刀村正へと変化する。


 次に黒い血が刀の柄に集まり始め、また乱威智が一から生み出される。


「忌々しい力ね……」

 優華は引いた表情で上から見下ろす。


 俺はその言葉に気も留めず、ドラゴンの手に刀を突き立てる。

 その状態でドラゴンの腕を刀で切り裂きながら走り登る。


(ここで空気抵抗を落とせば……!)

 目にも止まらぬ速度でドラゴンの体のあちこちを走り回って傷を付ける。


 俺達天崎家の兄弟は、幼少の頃から素早さを鍛える為に空気抵抗を落とす訓練を父親から受けていた。


 だから兄弟全員、速度には自信がある。


 粗方ドラゴンの皮膚に傷を作り終わると、優華の後ろ五メートル程の場所に跳ぶ。


 優華は嫌そうな顔で水の地面を空中に作り出し、俺は無事にそこへ着地する。


 宙へ浮く優華は振り向きながらこちらを睨む。


 それを避けるかのように、俺は目を閉じて精神統一を始めた。


 ドラゴンに付けた傷の場所と形状をイメージする。


 そこから流れる血液やエネルギーを辿る。


 ドラゴンの体の中枢神経、脊髄から脳にかけてのプロテクトは甘く、奴が耐性を作るのにはまだ時間がかかりそうだ。


 説明すると……

 先程刀身から出した薄紫色のオーラ、敵を眠らせる催眠毒。

 それとは違う浸入毒をジーニズに使わせることで、ドラゴンの心の中に入ろうとしている。


 視界はドラゴンの脳に到達し意識が一度切り替わる――



 周囲は真っ白の世界へと変貌し、自分があのドラゴンの深層心理を司る心の中に入った事を自覚する。


(黒なのに白……?)

「嫌な予感がするな……」

 今までの経験上、外見と内面の色が正反対である場合は必ず内部で戦闘が起こる。


 だが、何かが襲ってくるような気配は全く感じない。


「……?」


 黒くて細い亀裂が正面に見える。

(見逃すところだった……)


 それは暗くて強くて……例えるならお化け屋敷の入り口のような怖い雰囲気を漂わせている。


「覗こう。気を付けてくれ」

「分かってる」

 ジーニズの注意に一つ返事を返し、中を除くと……


 直径百メートル程はある大きな空間。

 白いパネルで敷き詰められた壁と床。

 そして高い位置にあるガラスの窓から覗く白衣の人間。

 それはとある実験施設の一部屋だった。


 中心には……

「アイツか……」

「そうみたいだな……」

 大きく黒い鋼鉄のプロテクターで固定された成体の白いドラゴンがいる。


 周囲を見渡すが、見たこともない研究施設。

 見たことがある場所であって欲しかった。



 宇宙の物質研究施設。そんな仮面を被った人体実験組織。

 俺達は過去にそのような組織をいくつか中止に追い込んできた。


 まずそこを襲撃し、騎士団である結衣に報告する。

 今度は結衣達が、騎士団を纏め故郷の地域で王を務める俺の母親にそれを伝える。

 その後は母親が星の代表として、宇宙全体の上層部に通報、告訴、脅し、いずれかをしてもらう。



「ジーニズ、分かるか?」

「場所は……どこかの宇宙船の一部の構造ってことは分かった。けどそれ以外はいつの年代のなのかも分からないなぁ……」

 彼の知識を頼るも、断片的な情報しか残っていないようだ。


『実験開始』

 野太いオペレーターの声が聞こえ、ドラゴンの周囲の地面から黒い機械の手が四つ現れる。

 造形はまるでドラゴンの骨腕。

 枝から三つに分岐した手の機械は、ドラゴンに近付くため地面から伸びていく。


 手はドラゴンの両足と両翼を掴むと、掴まれた場所のドラゴンの血管は浮き出し……


 押し出された白い鱗は段々と黒く変色していく。

 ドラゴンは目を開き、必死で鳴いている。

 足と翼から体を伝い、頭まで変色してしまう……


 黒かった瞳の色が赤色へと変わると、ドラゴンは暴れるのをやめた。


 だが、ドラゴンを縛っていた枷は水へと変化し……

 水は弾丸のような早さでガラス越しに見ていた研究者達の頭部を正確に撃ち抜く。


 ドラゴンは立ち上がり、赤い電撃のようなオーラを纏う。


「やっぱり人口的に悪竜になったのか……」

 ドラゴンの過去の記憶を覗いた俺は冷静に結果を見届ける。

 このような非人道的光景を見てきたのも一度や二度じゃない。


 ドラゴンの纏うオーラはまだ不安定なのか、周囲を攻撃するも……白い機械的な壁には傷一つ与えられない。


「お、押さえろ……!」

 ガラスの向こうにいる残った研究者達は、コントロールパネルのような物をキーボードのように操作する。


 しかし何も起こらない。

 先程の機械の手は赤いオーラの影響で地面にひれ伏していた。


「クソッ……!」

「新しいのを!!」

 研究者達はもう一度コントロールパネルを操作し、新しい機械の手を地面から出す。


 そして見事にドラゴンの翼の根元を掴む。

 だが……

 ドラゴンが一目それを見ると、オーラを黒い物へと変色させる。


「ま、まさか……」

 俺は目を疑った。


 ドラゴンは黒い機械の手にわざと掴まり、そこから電撃のようなオーラを流す。

 そして次の瞬間……

 逆流する電力エネルギーを吸収していた。


 研究所内の電源は落ち、そこで記憶の断片は途切れる。

 記憶のヒビは徐々に閉じていった。


 あのドラゴンは人工的にこの研究施設で、変換、適応系の能力を埋め込まれた。


 片手で頭を抱える。

「あ、れは……」

 今あれを敵にしている優華はともかく、おそらくあの研究施設はもうない。


 それにあの研究施設自体、数年前に力を封印した……邪神として暴走している豊穣の女神シュプ=ニグラスの引き金である可能性が高い。


「ありゃ……超越変革だ。残念ながら絶対能力じゃない。鈴ちゃんと同じく神越能力の一種だ」


「そりゃ……ヤバ、いな……」

「まず神越能力を果実媒体ではなく能力媒体として扱っていたことも、奴がドラゴンにそんなものをぶちこんでいたこともだ」


 まず神越能力とは、神をも越える能力の一種。神的存在にすら作ることは難しい。

 人間のような強い意思を持つ生命体に、邪神や神が乗り移る奇跡のようなことが起こらない限り生まれない。


 今まで見てきた共通の能力例だと神属性という新たな属性を簡単に扱える。


 現にそれを隔世遺伝で引き継いだのが鈴と愛美だ。

 鈴は時空闘走という、時空を全世界間で自由に操作できる能力を持っている。


 愛美に関しては天崎ユナという先祖の意思と能力そのものを引き継いだ。

 神殺キラーという神性の敵にのみ対して発動させる能力。

 俺も数回しか見たことが無い上に、昔の記録より異常に発達した力を見せる。


 そして……彼女は雷神の巫女として邪神アザトースを呼び出す事が出来る。


 つまり神越能力には神をも代償無しで呼び出すような力が存在する。


 それがどれだけ危険なモノなのか……


「ジーニズ! 内部で他に出来ることは?」

「そうだな……やっぱりこいつは意思を持って変換している。そもそも交戦時からそれを発揮していればこの森どころか地球の生態系自体も変化させていたはずだ……」


 確かに彼の言う通り、始めからそれをしていれば自分の住みやすい環境にしていたはず。


「そこまで発達してない……とか?」

「それはない。まず僕の毒すらも変換するということは、事実上僕が過去に取り憑いた竜神ジズの力を変換していることになる。効かないなら神的存在で間違いは無い。耐性があるほどアレは効く。でもあしらえるってことは……」


「もうそこまで成長してるってことか……」


 いくら考えても拉致が明か……

「ん? 意思を持って能力を使いこなしてるってことはこいつに敵を判断する意識があるってことになるよな?」


「そりゃそうだろ?」

 ジーニズは当たり前だろとでも言うような返答をする。


「だったらこいつは今、人間自体に怒りを表し、そいつらに合った殺し方をしようとしている」


「そうだな……」

 まだジーニズは気付いてくれない。


「だったら昔の記憶を引っ張り出して、それを俺が清算させる。ヤツに戦意さえ喪失させればいい」

「まあ初手はそうだろう。で? 次はどうするんだ?」

「…………」

 ジーニズに核心的なところを問い詰められてしまい、黙ってしまう。


 俺達は竜を卵の状態に戻すことで竜を救ってきた。

 生命を誕生し直させる能力。再帰誕リバースという力。

 亡くなっている生物には使うことは出来ない。


 だが、きっとその力も変換されてしまう。

 ちなみに今、このドラゴンの精神の中に意識を飛ばしているのも、この再帰誕の応用した使い方だ。


 接触した血液や神経から中枢神経まで催眠毒を回し、変換される前に意識を飛ばした。


「過去最速で戻せば……不可能じゃない」

 ジーニズは渋々と意見を出す。

「それに、戦意を喪失させればその変換の時間を長くしてくれるかもしれない」


「神越能力だぞ?」

「だからこそ可能かもしれない。やるしかないんだ」

 俺は刀を抜刀し直し、真っ白な世界を走り出した。



「はッ!!」

 神属性の虹色の光線。優華はそれすらと軽々と左腕で天へと受け流す。


「悪い、待たせた」

「待ってないわ。数秒も」

 現に俺が精神統一を始めて全く戦況は変わっていなかった。


「言っておくけど、ドラゴンの命を守るためにこの星の歴史を変えたら……」

「分かってる。その時はお前の右手で好きにすればいい」

 久しぶりのちゃんとした会話も刺々しく、必要事項のみを伝えるだけ。


「おい!!」

 俺はドラゴンに向かって大声で話しかける。

 ドラゴンはこちらを一瞥して二秒ほど動きを止める。


(やっぱり言葉は伝わる……)


「お前の信じた人間は、こんなお前を見て喜ぶのか?」

 ドラゴンの過去を見抜いた上で、俺が聞いた挑戦的な質問。


 ドラゴンは目の色を変え、ゼロ距離まで瞬間移動してくる。

(こいつ……!)

 その答えは即座に放たれた赤い破壊光線。


 ダメかと思って顔を腕で覆い、ジーニズの力による蘇生を頼りにする。


(あれ?)

 痛くもなんともない。

 覆った腕を解いて前を見る。


 優華が光線を空へ受け流していた。

「お前……」

「またこいつ原住民達を狙ってたわよ」

 冷酷な声は俺の期待を突き放す。


 傷付けた分、傷付けられる義務がある。

 やっぱり俺は優華に許してもらうなど、無理な話だったと気付く……


「カウントは?」

「え?」

 突然彼女に投げ掛けられた一言。

 一瞬理解ができなかった。


 彼女はもう俺を気遣う必要なんて無い。

 なのに俺が能力暴走するまでの蘇生カウント数を聞いてきた。


「カウントはいくつって聞いてんのよ!」

「ご、五回だ」

「一回って答えなさいよ……!」

 理不尽すぎる受け答え。でも俺のことを気にしてなければこんなこと……


「勘違いしないで……いや、そうね。あんたがコイツを私とくっ付けさせてくれたら、許してやってもいいわよ」

 彼女は後ろ目に意地悪そうに微笑む。


 無茶な条件提示。

 でも互いの任務を成功に導くには……


 俺はそんな彼女を無視してドラゴンに問いかける。

「じゃあ、お前はあの研究施設が許せないんだな?」

 ドラゴンは攻撃しようとする手を止めた。


「だったら、この葵 優華って竜人りゅうどが今からそこをぶっ潰しに……」

「あんた……! ぶっ飛ばすわよ!」

 俺は出任せを彼女に擦り付ける。勿論怒る彼女を余所目にドラゴンは口を開ける。


「竜人……? 貴様等ッ……!」

 ドラゴンは再び怒りを露にする。


「お前は時代に疎すぎる。とうにそんな暗黒時代、終わったんだよ。今は仲良く暮らしてる」

 俺はハッキリと現実を叩き付ける。


「それに、かつての竜人やあの外部の研究者達……そいつらが操られていたってことはまさか知ってるよな?」

「知るかッ! そんなこと!」

 怒りに満ちたドラゴンは、そんな事情など関係ないとばかりに怒鳴り散らす。


「豊穣の女神シュプ=ニグラス」

 俺は淡々と全ての悪の現況の名前を告げる。


「…………ッ! 邪神の妻がなんだ」

 ドラゴンの怒りが止まった。


「アイツが竜神ジズと竜神ベヒモスに呪いの毒牙をかけた。まさか、知ってるよな?」

「なッ……! そんなこと……」

 俺がしようとしてること。それはコイツに罪悪感を持たせることだ。


「お前は何故、自分のやったことが正当化できる? 国のピンチに相棒と星を逃げてどうしたのかは俺は知らない。でも、筋違い過ぎやしないか?」

「…………」

 俺の嘘も見抜けず、ドラゴンは黙りこくっている。


「無関係の星の人間を差別して襲って……お前のやってること、あの邪神とさして変わらないぞ?」

「私が……アイツを……」

「そこまでは言ってない。ただ……」

 思考が間違った方向にいかないよう、しっかり否定する。そして……


「そんなお前を止めに来たってことは、俺達が誰と対立してるか……それ位は分かるよな?」

「ソイツはどこにいる」

 ドラゴンの怒りは再度燃え上がる。


「待ちなさい。私が案内するわ」

「貴様……」

 ドラゴンは疑った様子で、彼女を覗き見る。


扇卯せんうの生き残りよ」

「生き残りって……まさか!」

 ドラゴンは彼女の正体と現状を知り、驚いている。

 一つの王国が滅んでいることに気付いたのだろう。


「大丈夫よ。リヴァイアサンも彼が救った。今は王国ではなく、民主主義組織が国を支えているわ」

 優華は淡々と自分の生まれ育った国について説明している。

 リヴァイアサンはもう一匹の竜神。今は国で竜達を治めている。


 正直、悪竜を纏う……戦友契約を交わすなど俺は賛成できない。

「だから私と契約を」

「待て」

 俺はその場で会話を止める。


「何よ……」

「まず、お前を元のドラゴンに戻してやる」

「そ、それは本当か!?」

 ドラゴンは思う以上、その条件に食い付いた。


「この星の神に一言謝れば治して貰えるだろう。まあ俺も天崎家の子孫として、一言では済ませたくないけどな」

「そう……か」

 ドラゴンの瞳の色は、赤から綺麗な蒼い色に変わっていた。


「名前は?」

 優華がドラゴンに対して質問する。

「アクオスだ」

「水属性の私にぴったりの名前じゃない」

 彼女は鼻が高すぎる発言をする。


 確かに彼女はコイツの攻撃などものともしなかった……

「ってお前、なんで近距離攻撃を」

 彼女は遠距離攻撃全般しか左手で弾けなかったはず。

 あんなゼロ距離の光線を……


「後でその経緯、じっくりと話してやるわよ」

 ギロリとまた睨まれる。


「能力は……どうなる?」

 ドラゴンは自分の度が過ぎた力についても気にしているようだ。


「お前達の交渉次第だ。優華、契約をするっていうなら、そこのところは頑張ってくれないか?」

「言われなくても」

 空中から水を伝って降りる彼女。何だか嬉しそうな声色な気がした。


「無事に仲直りのキスができそうだな」

 ジーニズが雰囲気をぶち壊す最低な一言を放つ。

「おいおまっ!」

 足元にあった浮き水が消える。


「ちょっと待てぇぇぇぇぇ!!!!」

 蘇生カウントは切らなかったものの、怪我だらけにはなった。

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