第386話
「なんなんだこの青い鳥は?フェニと同じ従魔の首飾りをしてるけど...」
「種類は違いますけどフェニちゃんと同じ鳥の魔物ですね~」
「誰かの従魔みたいですね」
フェニの隣にいつの間にか並んでいた見知らぬ青い鳥は何の魔物なのか分からないが、従魔の首飾りをしているため、誰かの従魔ということだけは分かる。
とはいえ、コウ達の周りにはこの魔物の主人と思われる人物は見当たらず、探し回っているような人物も見当たらない。
「う~ん迷子ですかね~?どうします~?」
「どうするって言ってもなぁ...探してる人がいればすれ違いにもなりそうだけどな」
「従魔ですから待っていた方がいいと思います」
これといって放置していたとしても特に害は無さそうだし、フェニもこの青い鳥の魔物に興味を示しているので、一旦様子見としてそのまま放置しておくことにした。
「キュ!」
「ピュイ!」
そんな青い鳥の魔物に興味を示しているフェニは自身の皿にある肉料理を小さな嘴を使って噛み千切ると、仲良くするためになのか青い鳥の魔物へ肉料理を分け与えていた。
そして暫く、仲良さげにお互いが肉料理を食べ合っているという微笑ましい光景を眺めながら、この青い鳥の魔物の主人が迎えに来るのを待っていると、少し離れた位置で周囲をきょろきょろと見回しながら歩く、コウよりも少し年上に見える1人の男がいるのに気がついた。
「ピュイ!」
その男は様々な色合いを持つ羽根が装飾された中折れ帽を被っており、フェニの隣で並んでいた青い鳥はその男を見るや否や一言鳴くと、窓の縁から飛び立つ。
そしてパタパタと小さな翼を動かして空を飛び、男が被っている中折れ帽の上へ降り立つので、すぐにその男が青い鳥の主人だと理解出来た。
「全く...こんなところにいたのか...申し訳ない面倒を見てもらって」
「いや気にしなくていいぞ。うちのフェニと仲良くしてくれたみたいだし」
「おや...?君も鳥の魔物を従魔にしてるんだね。ふむ...ふむふむ...」
その男は窓の縁にちょこんと止まっているフェニに気付いたのか物珍しそうな顔をしながら観察していた。
観察されているフェニはその男から何か貰えるのかと期待した眼差しで見ていたが、何も貰えなかったため、すぐに興味を失ったのか皿に乗った肉料理を再び
「ところであんたは誰なんだ?」
「あぁ挨拶が遅れて申し訳ない。フェイマール伯爵家のディルというものさ」
「フェイマール伯爵家...?さっき聞いたばかりの家だな。俺はコウでこいつは相棒のフェニだ」
「私はライラです〜よろしくお願いします〜」
「リディカート公爵家の一人娘イザベルと申します」
目の前の男はどうやら先程、会話をしていた女の子であるメリスのお兄さんらしく、礼儀正しく自己紹介をしてきたため、コウ達も順番に名乗っていく。
「そういえばさっきの青い鳥はディルの従魔なのか?」
「あぁこの子の名前はルーといってスノウバードという魔物なんだ。北の海を超えた寒い場所生息してる魔物で...ってごめんごめん喋り過ぎだね」
ディルは自身の従魔のことについて聞かれたのが嬉しかったようで、嬉々として青い鳥の魔物についてを早口で説明されるが、途中で喋りすぎたことに気づいたのかすぐに謝りだす。
しかしそんなディルは鳥の魔物に詳しいようなので、もしかしたらフェニのことについて何かしら知っているかもしれないと思い、コウは訪ねてみることにした。
「フェニについて何か似たような魔物って知ってることはないか?」
「うーん...残念ながら他に似た魔物は僕でも知らないなぁ」
「そうか...」
「でも珍しい魔物だと思うから気をつけた方がいいと思うよ」
「ん?どういうことだ?」
「世の中良い人ばかりではないということだよ。珍しい魔物は捕まると碌な目に合わないからね」
確かにディルの言う通り、世の中いい人ばかりではない。
フェニの見た目は全身が金色であり、ここらでは見たことがない種類の魔物のため、もし碌でもない人にでも捕まってしまえば、闇市場などの場所で高値として取引されることは間違い無いだろうし、最悪の場合は殺されて剥製にされてしまうという可能性もあるのだ。
そのため、ディルは善意として注意喚起をしてくれたのだろう。
「まぁ鳥の魔物を従魔としてる仲間としてもし何かあれば絶対に力を貸すから僕を頼ってくれ。そろそろ帰る予定だったし失礼するよ」
そんな嵐のように現れたディルは従魔であるルーを中折れ帽の上にそのまま乗せながら一言だけ言い残すと、その場を去っていくのであった...。
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次回の更新は7月10日になりますのでよろしくお願いします。
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