第351話

 残りのメドゥウルフ達が逃げ去った後はライラが絞め殺した一回り大きなリーダー格も回収したということで、ローランに向かって歩いていた。


 帰り道の殆どは先程、活躍を見せたライラの話でもちきりとなっており、最初は本当に強いのか疑問を抱いていたトゥリッタからはいつの間にか質問責めされていたりする。


 百聞は一見にしかずという言葉はまさにこのことだろうか。


 またトゥリッタに質問責めされているライラは午前中あまり話が出来ていなかったということで嬉しいのか、ニコニコとあれやこれやの質問に優しく答えていた。


 ただ楽しい時間も束の間、昼を少し過ぎた辺りの時間にはローランの城壁が見え始め、城門前へと到着すると、ルビィ達は一般入口へ...そしてコウ達は特別入口を通じて街の中へ入っていき、城門をくぐり抜けた先でのんびりと待つことにした。


「お待たせしました!」


「すみません。遅くなりました」


「別に急いでないし気にしなくてもいいぞ。ルビィ達のせいでもないし」


「そうですよ~気にしないで下さい~」


 暫くの間、ライラと雑談でもしながら待っていると、ルビィ達はまるで待ち合わせに遅刻したかのように小走りで駆け寄ってくる。


 そこまで急いでいることではないけども、とりあえずローランに戻ってきたのならば依頼の報告を先にしたいので、コウ達はまっすぐ冒険者ギルドへ向かうことにした。


 そして冒険者ギルドに到着したコウ達は早速中に入るも、まだ昼を過ぎた頃ということもあってなのか、他の冒険者達は依頼から戻ってきておらず、ゆったりとした空間となっていた。


 そんなゆったりとした冒険者ギルドの受付には午前中から変わらずサーラが座って書類を処理しており、誰も並んでいないということで、そのまま受付の前へ立つと、サーラはすぐにコウ達の存在に気づく。


「あれ?コウさん達じゃないですか?新人さん達の調子はどうですか?」


「あぁ無事にルビィ達がホーランビットを倒したぞ」


「これが倒したホーンラビットです!確認お願いします!」


 ルビィは依頼の報告をするため、背負っていたホーンラビットの討伐証明である鋭く尖った大きな角や肉、そして毛皮と共に依頼書の控えを机の上にまとめて置くと、サーラへ確認してもらうようにお願いする。


「おぉ早い!よく頑張りました!すぐに確認させてもらいますね!」


 そしてサーラはルビィ達のことを褒めながら、机の上に置かれたホーンラビットの素材と依頼書の控えを両手いっぱいに持つと、確認のためかそのまま裏の部屋へ持っていってしまう。


 確認自体はすぐに終わるだろうということで、受付の前で少しだけ待っていると、すぐにサーラは戻ってきたが、先程両手いっぱいに持っていったホーンラビットの素材はなく、代わりとして手には小袋を持っており、その中からはちゃりちゃりとした音が聞こえてくる。


「お待たせしました!これがルビィちゃん達の初の依頼報酬です!」


「わぁー!ありがとうございます!」


「ルビィ。中を見てみない?」


 サーラは手に持っていた小袋をルビィは代表として受け取り、その場で中に入っている初の依頼報酬を手のひらの上に取り出す。


 中に入っていたのは銀貨8枚と銅貨6枚だけであり、報酬としてはあまり多いとはいえないが、2人にとっては初めて貰えたお金ということで、嬉しそうに半分づつ分け合っていた。


 そんな2人を見るとなんだか今回の依頼を受けたのは悪くなかったと思える。


「これで俺達の依頼も達成ってことでいいか?」


「勿論です!コウさん達もお疲れ様でした!」


 無事にルビィ達の依頼も達成出来たし、冒険者のことについて多少なりとも教えることが出来たため、これでコウ達の依頼も達成ということになり、サーラに依頼書の控えを渡すと、その場で判子をサッと押されて処理される。


 そして机の下にある金庫の中からサーラは依頼報酬である金貨2枚を取り出すと、そのまま手渡されるので、受け取ったコウはライラに金貨1枚を渡し、残りは収納の指輪の中へ仕舞い込んでいく。


 報酬を受け取り終わると、いつの間にか後ろには依頼から戻ってきたであろう冒険者が1組ほど待っていたので、コウ達は邪魔にならないように一旦受付から離れることにするのであった...。



いつも見てくださってありがとうございます!


評価やブクマなどをしてくださると嬉しいですm(_ _)m


次回の更新は5月1日になりますのでよろしくお願いします。

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