第90話
「ギルドに到着っと...」
コウは無事に冒険者ギルドへと到着し木製のドアを開け中に入るとギルド内は朝のピークの時間は過ぎたのか人は少なくのんびりとした時間が流れていた。
そして受付にはサーラや他のギルド嬢が事務作業をしており、サーラは入り口から入ってきたコウに気づいたようで軽く手を振っている。
そういえばサーラはいつも受付に居るのだがいつ休んでいるのだろうか?とコウは思いつつコウはサーラの居る受付まで足を運ぶ。
「お久しぶりですねコウさん!試験はどうでしたか?」
「あぁ久しぶりだな。試験は無事に終わったよ」
コウは収納の指輪の中から聖都シュレアにある大聖堂の受付に貰った証明書を取り出しひらひらと見せ手渡す。
サーラは「流石ですね!ちょっと待ってて下さいね!」と一言だけ残し証明書を持ちながらギルドマスターの部屋へと歩いてく。
暫く待っているとサーラが戻ってきて先程ギルドマスターへと持っていった証明書は手には持っていない。
「お待たせしました。では次にギルドカードを出してもらってもよろしいですか?」
サーラは立ったままコウへギルド―カードの提出を求めると、コウは素直に収納の指輪の中から最近は街へ入る時にしか使っていない銅色のギルドカードを取り出しサーラへ渡す。
そしてギルドカード持ったまま「ちょっとだけまた待ってて下さいね!」と言われ今度は裏の部屋へと行ってしまった。
先程よりかはすぐに戻ってきてサーラは椅子に座ると、先程持っていったギルドカードをコウの前に出される。
「あれ銀色になってるな?」
コウは先程まで銅色のギルドカードが銀色のカードへと変化しているのに気がつき疑問に思う。
「Cランクに昇格おめでとうございます!これで初心者冒険者卒業ですね!」
どうやらサーラに話を聞くと銀色のギルドカードへと変化したのはCランクになったからだそうだ。
銅色はDランクまでの冒険者が持つものらしく銀色のカードになると一人前のようなものとして扱われるらしい。
Bランクになると金と銀の2色に分かれたギルドカードに、そしてAランクになると金色のギルドカードにへと色が変化するらしい。
そしてSランクになると好きな色のギルドカードへと指定できるとは言うもののSランク自体このアルトマード王国には2名しかおらず神出鬼没の人達らしいのでギルドカードを好きな色に指定できるのは嘘か本当か分からないようだ。
「そういえばCランクになるとどんな依頼が受けれるんだ?」
「う~んそうですね。この辺の依頼としてはトレントがメインになりますかね~」
トレントとは木の魔物であり、普通の木とは見分けがしにくい魔物と言われ倒したときの素材は勿論、身体である木と魔石になる。
何故、このローランでメインの依頼となる理由は死の森が関係していてるのだ。
トレントの発生方法としては濃い魔力が木に溜められるとトレントへと変化していくらしい、そして死の森は魔力が豊富にあり、木に魔力がどんどんと溜まるためトレントが発生しやすい。
なのでローランでのCランクの依頼はトレントがメインの魔物になるということだ。
ちなみにトレントの素材で木は木材にすると魔力が込められているためかそれなりに耐火性能があり建築や魔法の杖などにも幅広く使われている。
そのためトレントの素材の需要は高くなかなか良い値段で取引されているのだ。
「トレントか...また調べてみるよ。ありがとう」
「いえいえ!これからもコウさんの活躍に期待してますね!」
「ん、また明日にでも依頼を受けに来るとするよ。じゃあな」
Cランクに無事にコウは成れたのでサーラに手を軽く振り別れを告げるとギルドを後にする。
この後の予定としては宿に泊まりゆっくりとする予定であり、コウは収納の指輪の中のお金を計算すると総資産は金貨30枚程となっていた。
小鳥の止り木に泊まるとしても前回10日泊まった時は金貨15枚必要だったので30枚ならばざっと考えると20日しか泊まれないということになる。
コウとしてはそれなりに高い宿のが待遇もよく衛生面などを考えるとあまり安宿には泊まりたくはない。
ただ聖都シュレアで泊まった安宿は寝泊まりするだけならそれなりに良かったので一概にはいえないのだが...。
「明日からトレントでも狩ればそれなりに収入は良くなるだろ」
まぁコウは知らないがトレントの素材は普通の木材よりも高く魔石抜きで計算すると大体は銀貨5枚で取引されているので確かに収入はかなり良くなるだろう。
「あっ...そういえば魔道具の靴は何処で売れば良いんだろうか?」
暗殺ギルドの2名から奪った...ではなく有り難く頂いた魔道具の靴を思い出す。
普通なら魔道具の店に売りに行けば良いのだがコウはまだ魔道具などを売ったことがないため疑問に思う。
「まぁいいか...明日にでもサーラに聞けば分かるだろ。それよりも宿だな」
そんな事を言いつつコウは早く宿でゆっくりするため、急ぎ足で小鳥の止り木という宿へと向かうのであった。
ここまで見てくださってありがとうございますm(__)m
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