第86話
翌朝...シュレア大聖堂に連絡し街の城壁に隙間があり、その先にはボロボロの協会があるという事と儀式が行われていたということを説明し対応してもらうようにライラが掛け合ってくれていた。
しかしそれからが大変だった...神父の死体や大量の生贄など教会内から色々と出てきてコウは長時間、シュレア大聖堂の一室で事情聴取などをされていたのだ。
「やっと解放された~」
昼頃になってようやくコウは無事に解放され外に出て大きく深呼吸し、凝り固まった身体を解すようにストレッチを軽くする。
コウの肩にはいつもいるフェニの姿はなく何処にいるのかと言うと大聖堂へと拘束される前にライラに預けていた。
ライラはフェニとともに孤児院へ戻り、子供たちの世話などをしているのだろう。
フェニとしては少し苦痛の時間になるだろうがしょうが無い。
早く孤児院にコウは向かおうと思い歩き出すとお腹から食事の時間を告げる音が鳴り出した。
「流石に腹が減ったな...とりあえず屋台に寄ってくか」
大通りを歩くと屋台が多く開かれており、ローランには無い料理が多く売られていてどれを最初に食べるか悩んでしまう。
きっとライラやフェニがこの場に入れば端から端までの屋台の料理をコンプリートしていただろうか。
「おっちゃんこの料理を1つくれ」
「あいよ!銅貨3枚だぜ!」
コウが多くの屋台から選んだ料理はホットドッグの様にパンの間へとバラ肉を炒めたものとレタスに似た野菜を挟んだものだった。
屋台の親父から出来たての料理を受け取りすぐにコウは齧り付くと口の中に肉汁が溢れバジルのような香りがほんのりとしてかなり美味しい。
この美味しさで銅貨3枚とはお値打ちである。
「おっちゃん追加注文だ。30個作ってくれ」
「お、おう...30個だな?でも冷たい状態で食ってほしくね―ぜ?」
コウはこの料理が気に入ったのか屋台の親父に更に追加注文すると屋台の親父は料理は温かいうちに食べてほしいということを言ってくるがコウには収納の指輪があるので全く問題ない。
「問題ない。俺には収納系の魔道具を持ってるから」
屋台の親父も収納の系の魔道具を持っている事を知り納得したのか大急ぎで料理を作っており、出来た瞬間にコウへとどんどん渡していくと同時にコウは収納の指輪の中へ仕舞っていく。
「よっしゃ坊主ありがとな!おまけして銀貨8枚でいいぜ!」
銀貨8枚を支払うと屋台の親父はニコニコ笑顔でコウを見送っていた。
まぁコウのように大量に買っていく上客は中々居ないため笑顔になるのは当然だろう。
「よし、そろそろフェニを向かいに行くか」
コウは孤児院に向けてゆっくりと食後の運動がてらと称して歩き出すが孤児院はそこまでこの大通りからは遠くないため正直そこまで運動にはならないのだが...。
■
やはりというかすぐにコウは孤児院へと到着し中に入るとフェニが飛んできて肩へと乗ってきた。
「キュイ!」
フェニは帰ってくるのが遅いぞ!と言わんばかりにコウの頬を嘴で軽くツンツンしてくる。
「悪かったって!ほらこれやるから」
コウはすぐに収納の指輪から串焼きを肩に乗っているフェニの前に出すと機嫌を戻しコウの頬を突くのをやめて串焼きへと突く先を変えた。
(現金なやつだ...)
きっと今思ったことを声に出すと再びフェニは機嫌が悪くなり突かれるというのが分かりきっているので声には出さない。
「あ~!コウさんお疲れさまです~!」
「あぁ、ライラもフェニのことをありがとな」
「いえいえ~これからコウさんはどうなされるんですか~?」
コウは顎に手を置き考える。
なんだかんだ多少なりとも聖都シュレアは観光したし屋台での料理も買い込んだのでこれ以上ここに残る理由もないだろう。
「う~んそろそろローランに帰るかな...」
「むむむ...そうですかぁ~仕方ないですね~」
「あっ...そうだこれ渡すのを忘れてた」
コウは昨日、小物などが置いてある店で買った髪飾りを思い出すと収納の指輪の中から金色の十字架の髪飾りを出しライラへと放り投げる。
「わわわ!」
慌てながらコウの投げた髪飾りを上手くキャッチすることに成功し手の中を見るとライラは目をパチクリとさせていた。
「えっと~これは貰ってもいいんでしょうか~?」
「そのために買ったんだからな。大切にしろよ?」
「むふふ~...ありがとうございます~!大切にします~!」
ライラは嬉しそうにお礼を言うとすぐに髪飾りを身につけこちらに頬を赤く染めながら見せてくる。
やはりコウの思ったとおり、ライラの金髪に似合っていて良い買い物をしたなと思った。
「じゃあそろそろ行くよ」
「キュイ!」
コウとフェニはライラと孤児院の子供たちに別れの挨拶をするとそのまま聖都シュレアから出るための門がある方向へと歩いていく。
後ろからは子供たちの別れの声や手を降っているのが見え、中にはフェニとの別れが嫌なのか泣いている子供いた。
「コウさ~ん!わたしもそのうちローランに――――――――――!」
ライラが何か言いかけたが馬車が横切り最後までは聞き取れなかったが手を降っているのできっとまたクルツ村にの実家に帰省した際、また会いましょうとかだと適当に解釈しライラへと手を振り返し門に向かって歩き出すのであった。
ここまで見てくださってありがとうございますm(_ _)m
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