第59話
「ふぅ~ようやくローランへと帰ってこれた...というか俺はまだ高ランクじゃないから一般入口からか...」
太陽は既に空へ昇っており、ローランの正門にはいつもの長蛇の列が並んでいた。
コウは高ランク冒険者ではないので一般入口からローランへ入ることとなっているのでコウもため息をつきながら長蛇の列へと並んでいく。
フェニも眠たいのかコウの肩からピクリとも動かず目を閉じていた。
「肩に乗りながら寝るのってフェニは器用だな...」
長蛇の列に並んでいると暇なのでコウは肩に乗っているフェニを見てついついちょっかいを出したくはなるがずっと一緒に戦ってくれたフェニに悪いと思い手は出さないように我慢する。
「はい次の方どうぞ~」
暫く長蛇の列で暇つぶしのごとく魔法で氷を作って遊びながら並んでいるとようやく検問している場所に到着し、門兵に呼ばれて手続きを済ませていく。
身分を証明できるギルドカードを出すとコウが本人かどうかを確認してくるのでギルドカードへ魔力を流すと名前と年齢が浮き出てくる。
「ん、確認も終わったし通っていいぞ~」
門兵にローランへと入っていいと言われ、ようやくコウはローランへと無事に帰ってこれた。
ただコウはこれからギルドに行き、ミラから受けていた依頼の報告とオークなどのモンスターの解体の依頼などやることは山積みである。
「しょうがない...ギルドに行くか」
コウは重い足を動かし、途中で朝飯と言いながら屋台に寄りながら冒険者ギルドへと向かう。
冒険者ギルドの扉を開けるとそこはオークを討伐し、終わった者たちが報告するために多く集まっていたのか人集りができている。
「ここでも並ぶのか...もう宿まで帰って寝てから来た方が良さそうだ」
コウは受付に並んでいる人達を見てから一旦、宿へと帰ろうと思い振り返る。
すると急に肩を誰かに掴まれたので後ろ振り返って見るとそこにはサーラの姿があった。
前へ進もうにもサーラに肩を捕まれ前に進めなくサーラの顔を見ると笑顔ではあるのだが、コウにとっては何故か少々笑顔が怖く見える。
「あの...サーラさん何でしょうか?」
コウは少し怖くなり、普段使わないような敬語を使いながらサーラへと尋ねる。
「ちょっとコウさんにお話が。少し待っててもらってもよろしいでしょうか?」
サーラの笑顔は変わらないのがとても怖く、コウは素直に頷き受付の混雑が終わるまで冒険者ギルドの隅で待つのであった...。
■
「さて...コウさん何故待たされたか理解していますか?」
受付に出来ていた人集りは既に捌けており、冒険者ギルド内は閑散としていた。
ようやく忙しい時間帯が終わったのでコウは受付の前まで呼び出され何故、待たされたか質問されるが大体予想がつくのでバツが悪そうな顔をし、サーラから顔を逸らす。
「もう!顔を逸らさないでください!」
机をバン!と両手で叩いた後コウの顔を掴むとこちらに無理やり逸した方向から正面へ向ける。
「むぅ...俺は悪いことはしていない」
「勿論悪いことはしてないですね...ただ何故オーク討伐隊を待たずに1人でオークの集落に突っ込んだんですか!」
どうやら単騎でオークの集落へと行ったことに対してサーラは怒っているらしい。
コウとしては一発だけ上位種のオークから攻撃を貰ったことがバレたのかと思っていたのだが、見当違いのようで少しホッとする。
そしてコウはオークの集落へ単騎で行ったことを釈明するため女性の村人を助けた事をサーラへと伝えると先を程よりは対応が柔らかくはなっていた。
「なるほど...女性を助けるためにですね。それならコウさんをこれ以上責めるのは良くないですね」
「ほら怪我とか今回もしてないし許してくれ」
コウは両手を上げ手をひらひらとし、怪我なんてしてないというアピールをする。
「まぁいいでしょう...今回は不問とします。次からは気をつけてくださいね」
「はいはい。あぁそう言えばオークとかの解体と買取をやってもらっても大丈夫か?」
コウは今回オークの集落で数体のオークと女冒険者を助ける際に倒したオーク3体、そしてこの間クルツ村で倒したワイルドボアが収納の指輪の中に入っているのでギルドに解体と買取をお願いする。
「勿論良いですよ。後ほど隣の倉庫の解体場所に持っていって下さい」
ただ問題としてコウ以外もオークの解体を頼んでいる者もいるため解体が終わるまではかなり時間がかかるとは言われた、がコウはそれでも良いと言い了承した。
「あとはミラから受けた木材の依頼もいいか?」
コウはミラから受けた依頼もあるのでサーラへと確認する。
「ミラから受けた依頼ですね。木材でしたら裏の倉庫に後ほど置いてもらってもよろしいでしょうか?後はこちらで処理しますので」
「ん、わかった裏の倉庫だな」
「あぁそういえばコウさん綺麗な封筒に入った手紙が届いていましたよ?」
サーラから綺麗な封筒の手紙を手渡されてコウはとある人物を思い出す。
受け取った封筒を破り中に入っている手紙の内容を確認するとそこにはイザベルからの相談があるという内容が書かれていたのだが、最近知り合ったばかりの人に何を相談するのだろうかとコウは思う。
ただ高ランクの冒険者からの相談なのだからそれなりに重要なことなのかもしれないし手紙の隅っこにお礼はそれなりにすると書いてあった。
こうして解体が終わるまでそれなりに時間がかかるのでコウは裏の倉庫に大量の木材を出した後、ローランへと戻ってきたばかりなのだが再び王都へと向かうのであった...。
ここまで見てくださってありがとうございますm(_ _)m
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます