第40話
「はぁ...やっと帰ってきた...フェニ~帰ったぞ~」
既に日は落ちており、コウは寄り道を色々としていたため部屋は真っ暗となっていた。
自室のドアを開けフェニに帰宅したことを伝えつつ疲れたように部屋の中へ入っていく。
「なんだこれ...フェニ~どうしたんだ?」
部屋の明かりを付けると金の羽が床に散乱しており、ベッドのシーツの中が膨らんでもぞもぞと動いているのが見える。
ベッドのシーツを剥ぎ取るとそこには前まで胸元に入るぐらいの大きさだったフェニがカラスほどの大きさになっていた。
「おぉ...成長したのか?良いことなんだがこの大きさじゃあもう外套の中に入れないな」
「キュイ...」
何故か残念そうにするフェニを見てふと気づく。
「あぁ...外套に入れなくなったのがそんなショックなのか...まぁ魔法の世界なんだから小さくなる魔法か魔道具があるだろ元気を出せ」
とりあえずフェニを元気づけ明日の予定を考える。
しかしコウは今日ギルドで起きた出来事を思い出すと次の日ギルドには行く気が起きない。
「そうだなぁ...そういえばこの街って図書館とかあるんだろうか。フェニがどんな魔物かも知りたいしな」
取り敢えず明日の予定を立てコウは寝る準備をし次の日の朝から行動することに決めたのであった...。
■
次の日コウは朝からフェニとともに外へ出かけており、目的地は昨日予定していた図書館である。
図書館の場所は宿の受付嬢であるミランダから教えてもらっていたので迷わず済んだ。
フェニは外套の中に入れないためかコウの肩へと止まっており、これではただの鳥使いにしかみえない。
「お...あったあった。案外でかいな」
街の中心部に図書館はあり、白い壁で作られた立派な作りでかなり広めの建物となっていた。
図書館に入ると目の前は受付となっており、奥にはずらりと本が並んでいるのが見え深呼吸をすると本独特の匂いが鼻を抜ける。
「図書館のご利用は初めてですか?」
あちらこちらに目を移らせていると片眼鏡をした司書の中年男性がコウに気づいたのか話しかけてくる。
「あぁ図書館は初めてだ」
「そうですか。では図書館を利用する際には銀貨1枚をいただきますのでご了承ください。また魔物に関しては無料ですが何か問題等を起こした場合は責任をとっていただきますのでお願いしますね」
どうやら図書館に入って本を読むには銀貨1枚必要らしい。
まぁ本というのはこの世界では貴重なため管理費も馬鹿にならないのだろう。
「ん...わかった銀貨1枚だな」
収納の指輪から銀貨1枚を出し受付の男性へと渡し奥へと入っていく。
奥には机や椅子なども置いてあって、それなりの人が本を読んでいて識字率がそれなりに高いことがわかる。
「取り敢えず魔物図鑑かな...えーっとこの辺かな?」
コウは2冊ほど本を持ち出し机の上に置くと1冊の本を手に取り開く。
フェニは隣の椅子に座り静かに毛づくろいをしているようだ。
1ページ目を捲ってみると今まで戦ったことのあるゴブリンのイラストが書いてあり、習性や討伐証明の部位など事細かく書いてある。
「ふ~ん結構詳しく書いてあるんだな」
ペラペラと捲り鳥の魔物のページへと入っていくが一向にフェニに似た鳥の魔物は見当たらない。
金色の鳥ならばかなり特徴があるのですぐ見つかると思っていたのだがそうでもないらしい。
「まぁまだ他の本もあるし気長に探すか...」
次の本へと手を伸ばし次々と他の本を読み漁るが一向に見当たらずコウの座っている場所には多くの本が積み上げられていた。
時間は経ち気づくと既に太陽は真上まで来ており、コウのお腹がぐぅ~っと空腹であることを訴える。
「もう昼か。時間が経つのは早いな。取り敢えず休憩で外へ出てご飯でも食べるか」
図書館の外へフェニと共に出て近場の広場へと行き座る場所へと腰を下ろす。
そしていつものごとく収納の指輪から適当なパンやハムを出し食べ始めると隣に飛んできたフェニがご飯の催促をするので手でパンやハムを適当にちぎり分けていく。
「それにしてもフェニはどんな魔物なんだろうな~そういえばフェニは大きくなったけどなにかできることってあるのか?」
隣でご飯を食べているフェニに聞くとコウの目の前に立ち翼を広げると翼の周りにバチバチと電気が走る。
「おぉ!もしかして雷系の魔法を使えるのか!戦闘に使えるならすごいぞフェニ!」
「キュイキューイ!」
フェニが成長したことがこれからどのように影響してくるのかはわからないが戦闘面ではかなりプラスになるのは簡単に想像ができた。
「よしよし、今日はフェニに似た魔物を探したいから図書館にまだ籠もるぞ。明日は街の外に出てフェニの魔法がどれくらい使えるか確認しないとな」
こうしてコウとフェニは食事を済ませた後、図書館へと戻り一日中図書館へ籠もりフェニに似た魔物を探すのであったのだが雷の魔法を使える鳥の魔物を見つけることは出来なかった...。
ここまで見てくださってありがとうございますm(_ _)m
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