第34話
コウはゴブリンの解体をギルドの隣にある解体倉庫に丸投げした次の日の朝、フェニと共に再び冒険者ギルドに来ていた。
何故、次の日の朝かというとギルドと解体を丸投げした倉庫からも解体する量が多いためか報酬の受け取りは次の日の朝に来てくれと言われたからでもある。
ちなみに解体場所はギルドの隣に倉庫のような大きな建物があり、そこで倒してきた魔物を出して解体をお願いするのだ。
朝から来たのでついでにと言わんばかりにコウは依頼の貼ってあるボードを見て楽に稼げそうな仕事を探すがこれといって旨味のある依頼は無い。
まぁそもそもランクを上げない事には基本的にあまり旨味のない仕事ばかりで低ランクは雑用のような仕事が多いのだ。
新人は貴重な人材の為死なないように危険な仕事は省かれている。
暫くボードと睨めっこしていると後ろから肩をトントンされ、誰かと思い振り返るとサーラの姿がそこにはあった。
「コウさんおはようございます!昨日お願いされたゴブリンの解体が終わりましたので受付までお願いします!」
どうやら丸投げしていた解体が終わったらしく討伐報酬などの受け取りなどがようやくできるらしい。
「はい、今回はゴブリンロードの魔石1個、クイーンの魔石1個、ゴブリンの魔石20個が解体で手に入りましたので銀貨30枚と金貨20枚になります」
前回ゴブリンを倒したときにコウは耳しかゴブリンからはとらなかったが、一応ゴブリンにも魔石はあるのでそちらも買取がされている。
「おぉ...こんなに貰っても良いのか?」
目の前の机の上に積み上げられた金貨と銀貨を見てまさかこんなにも貰えるとは思っていなかったコウは少し驚く。
「コウさんは前回ゴブリン討伐依頼の時は魔石を持ってこなかったですよね?魔石ってギルドではそれなりの扱いをしているので次からはちゃんと解体して魔石を持ってくるなり解体を頼むなどをしたほうが良いんですよ」
コウは早めに言っておいてほしかったと思うが自分の知識不足だったため、なんとも言えない。
まず魔石とは書いてある文字のごとく魔力の籠もった石であり、見た目はビー玉に近しく基本的に全ての魔物の中にある魔石は同じ形をしているらしい。
魔石にも品質があって透明から深い紫色になるにつれて魔力が篭ったものとなっている。
魔石はこの世界ではかなり重宝されており、魔石に溜まった魔力を使用し街の光源や料理をする際の火など様々な部分で使われている。
また使用し魔力がなくなった魔石は粉に砕いて畑へ撒けば肥料にもなる素晴らしいものであり、どんな物であれ需要が高い。
そのためギルドではそれなりの額で取引されているのだ。
「あっ!そういえばコウさんには昇格試験の依頼がきてましたよ!こんなに早く昇格試験なんて凄いですね!」
コウは昇格試験と言われ昨日ギルドマスターとのやりとりを思い出す。
「あぁーありがとう。そういえばそんなのがあったな。依頼はどんなやつなんだ?」
「えーっと待ってくださいねーここら辺に...」
机の中にある依頼書の束をペラペラとめくり探す。
「あっ!ありました!此方が昇格試験の依頼書となります!」
目の前に1枚の依頼書を置かれ内容を確認する。
「盗賊の討伐依頼...?」
依頼書に書かれている内容はこの街ローランの周囲に小さな盗賊団がいるらしくそれを討伐してほしいとの事だった。
「盗賊も一応ギルドで討伐依頼としてあるのですが小さい盗賊団はお金にもあまりならないのでこういったものを昇格試験としてださせてもらってます」
確かに小規模な盗賊団ならば蓄えもあまり無く旨味も無い。
そして何より最初の新人冒険者達の壁でもある。
そのため今後ギルド内の依頼で大規模な盗賊団の討伐などがきた場合、盗賊という危険な人ならば殺せる覚悟を持たせるためにこの様な昇格試験をやらせるのである。
とはいえ一応、ハイドに殺す時の覚悟は教えてもらっているが正直慣れてはいない。
「昇格試験を受けるか。盗賊の場所は分かっているのか?」
「確か...いつもコウさんが出られる南門では無く東門から出て少し歩いた岩場の周囲に根城があるらしいですよ」
「わかった。そういえば盗賊を殺した証明とかはどうするんだ?」
コウはふと疑問を覚え質問をする。
昇格試験を偽装するために盗賊を殺さずそのまま報告をするものもいるだろうし、たとえ盗賊を殺したとしても殺したという証明が出来ないのだ。
もしかしたら殺した盗賊の首を切り頭を持ってこいと言われるのではないのだろうか?と不意にそんな想像が頭の中で過るのだが実際の返答は意外なものだった。
「そちらに関しては此方のギルドから1名派遣しますのでそちらの方が判定しますので大丈夫です。ただ助けてはくれないので気をつけてくださいね!」
「まぁ大体理解はした。じゃあ行ってくる」
「本当に気をつけてくださいね!では頑張ってきてください!」
こうしてサーラから声援を貰いコウは昇格試験の盗賊の討伐へと向かうのであった...。
ここまで見てくださってありがとうございますm(_ _)m
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