ナイショのイツカカン
ゴールデンウィークが終わって気だるい雰囲気が流れている。
それでも授業をしっかりと聞いているとお昼がやってくる。ユキちゃんと机を合わせてお弁当を食べる。
「ゴールデンウィーク何してた?」
つまらなさそうなユキちゃん。連休前に叔母の家に挨拶に行くと言っていた。表情から察するに楽しく無かったのだろう。
「お稽古にお勉強……くらいかな」
ユキちゃんに話せるのはこれくらい。
「ふーん、まあそんなところだよね」
興味無さそうにハンバーグにかじりついている。ユキちゃんは大きなお家に住んでいるお嬢様なのだ。
「あ、でもね」
「ん?」
その時に教室の端っこの席から大きな笑い声が聞こえてきた。大人しい子がほとんどのこの女子校では珍しい派手な女子グループ。そのリーダーのマミちゃんがサンドイッチを片手に笑っていた。ついつい耳を傾けてしまう。話の内容はカレシの話題になっている。マミちゃんは派手な友達から彼氏がいるのではないのかと疑われていた。否定する動作で揺れる少し色の入った髪の毛。あの髪の毛からする甘い香りを私は知っている。
不機嫌そうにユキちゃんが咳をする。
「嫌だ嫌だ、チャラチャラ遊んで不潔だわ」
「まあ、そうだけど」
マミさんから目が離せない。ユキちゃんには絶対に言えないけど私はこっそりとマミさんと遊んでいた。私の関係も考えてくれてマミさんはクラスでは関わってこないけど連休中はお友達としてはやらないこともしてしまった。私も期待してなかったと言えば嘘で、お稽古も勉強も身が入っていないのは連休で弛んでいるのが理由ではなかった。
一瞬、マミちゃんの視線がこちらに送られる。私のぼんやりとした印象の顔とは違った鋭い端正な顔は遠くから見てもドキリとする。
「うわ、睨まれた。聞こえたのかな?」
ユキちゃんはマミちゃんを怖がっている。話してみればわかるのにな。
「そんなことないよ、ニコッとしてたよ」
「妙に良いように捉えるわね」
緩んだ頬に力を入れる。こんな調子だとすぐにバレてしまう。
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