持ちつ持たれつ

お昼休みには机をみっつ合わせて給食を食べる。

「今日の給食は何かなー」

高校に進学してから出来た友人は中学までお弁当だったからなのか給食が楽しみなのだ。

「えぇ、給食ってそんなに嬉しいかな」

先に牛乳を飲みほそうとストローを差し込んでいるのは幼馴染のアキちゃん。牛乳を先に飲んだほうが背が伸びるという噂を未だに信じているのだ。

「えーだって温かいご飯が食べれるじゃん」

「でもキライなモノも食べないといけないじゃん」

あまり行儀は宜しくないが箸でピーマンをつついている。

「アキちゃん、食べてあげる」

私の言葉を聞いたアキちゃんはこっそりと苦手なピーマンを私の皿に移してくる。

「もう、ホントにアキにゆるいなぁ。そんなんじゃだめだめなアキちゃんになるよ」

気まずそうに残ったお肉を食べるアキちゃんは呟くように返す。

「意外と厳しいよ、コイツ」

視線は私の方に向けられている。

「え、どういうこと?」

アレのコトかな……。でも言うわけにはいかないからはぐらかす。

「まあ、いいじゃない」


・ ・ ・


帰り道、家が近いアキちゃんとふたりで並んで歩く。

「ねえ、さっきの意外と厳しいってさ〜」

アレのことなのかについて聞いてみる。

「アンタ、いきなりキスとかしてくるでしょ」

ふたりだけの秘密なのだからかあきちゃんの声が小さく絞られる。

「ついに三人の秘密にするのかと思った」

「そんなわけないでしょ!」

怒られてしまった。


持ちつ持たれつの関係の秘密はまだまだ続きそうだった。

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