第3話 旅立ち
小太郎との生活も2か月を過ぎ、もう直ぐ新緑の5月。
そうGWが始まる。
休みと言ったらキャンプだろう!
という事で、キャンプ道具を買いに来ました。
テントから始まってランタンや水タンクに燃料関係は多めに、サバイバルナイフや長目のバール。
車の中で使えるクッションマットなど考えられる物は全て買った!当然小太郎のオヤツも山程買った。
行先は丹沢のやどろぎにあるオートキャンプ場。
夜のうちにご飯を炊いておにぎりを作って置く。
五合も炊いたけど多いかな?
唐揚げもモモ肉とムネ肉で2kgも作ったが完全に多過ぎだな!他にも甘い卵焼きや、ウィンナーなどなどBBQとダブるのもあるが、メインは霜降りの和牛だぜ!車の電源で冷凍庫と冷蔵庫が切り替えられるクーラーBOXに食材を満載!他のクーラーBOXには飲み物満載!心配症の俺も大満足の品揃えだな。
昔、会社の先輩とサバイバルゲームに凝った事があって、エアガンも引っ張り出した。
迷彩の戦闘服と編み上げブーツとヘルメット。
懐かしいなぁ。持って行っちゃおうかな!
後は双眼鏡に天体望遠鏡。
車にラダーとキャリアを付けたので、上に乗って天体観測も良いかもな。
そんな俺の様子を少し悲しそうに小太郎が見ている事には気付かなかった。
まだ薄暗い内に出発!
2時間弱で国道から山道に入る。
手前のコンビニでトイレに寄って小太郎も歩いてリフレッシュ。
さて、行こうか?
小太郎がク〜ンと悲しそうな声を出す。
「どうした?何処か痛いのか?何かあったか?」
撫でた手を舐めてくれる。
車に酔ったか?調子悪いなら帰るぞ?
元気に「ワン!」と吠えて車に乗り込む。
既にハンモックは止めて、リアシートを一番前まで寄せると隙間が無くなるので、シートカバーを掛けて、小太郎は自由に乗り降りできる。
大丈夫なら良いが、様子を見て具合悪そうなら帰ろうと思う。
少し慎重に山道を走って行った。
絶景の山道!
小太郎に見てみろと声を掛けようとした瞬間!
山側から何かが飛び出した!
緑色の子供くらいの大きさの‥‥鬼?
慌ててハンドルを切る。
ガードレールも無い山道で、車は谷へダイブして行った‥‥‥
「ク〜ン‥‥」ぺろぺろ
ん?なんだ?小太郎、朝か?‥‥
はっ!?と飛び起きた!
車のシートにしっかりとシートベルトをして座ってる。なんだ?何があったんだっけ?
混乱して記憶が定かじゃ無い。
あっ!そうだ!小鬼が飛び出して、ガケに‥‥
落ちて、無いな?あれ?ここは?何処だ?
あの小鬼は何だったんだ?
周囲は森だった。
森の中、開けた広場みたいな所に車は止まっていた。
そうだ!小太郎は!?
「小太郎!!」
「ク〜ン‥‥」
「小太郎!良かった!無事だったか!」
抱きついてワシャワシャするが‥‥
「あれ?小太郎?お前、大きくなってない?」
今までは抱っこ出来る大きさだったのが、俺と同じぐらいの大きさになっていた。
「ク〜ン、ご主人〜。」
「えっ?小太郎?えっ?」
「ご主人〜ゴメンね〜。」
「小太郎?お前‥‥喋れるのか?」
「うん。この世界に戻ったからね〜。」
「そうかぁ!喋れるのかぁ!」
なんか嬉しくなったのと混乱してるのとで、抱きついて泣いてしまった。
大きくなった小太郎は白柴から白いオオカミになった感じで手足も太くてゴツくなった。
毛足も長くなってフサフサ感が増した。
「ご主人〜僕の事、怖くない〜?」
「小太郎だろ?小太郎の事、怖い何て思わないぞ」
「そっかぁ、良かった!嫌われたらどうしようと思ってたんだぁ」
「小太郎‥‥何が起きたんだ?ここは、何処だ?」
「ご主人〜‥‥ゴメンなさい。」
「何だ?何を謝る事がある?」
小太郎はデカイずうたいでモジモジしている。
コイツは偶に自信を無くすのか、モジモジしだす事がある。
大抵の場合は下らない悩み?で決められない〜!
とかそんな感じ何だが‥‥下らないとか言っちゃイカンね。
本人は真剣だもんな。
で、今回はどうしたかな?
「何だ?言ってみな?」
「ご主人〜怒らないでね〜」
「ああ、怒らないぞ?」
「えっとね、僕はこの世界から来たのね〜‥‥」
・・・・・・・・・・
何と言う事だ!!
小太郎の話は、どっかのアニメのような話だった。
この世界で生まれた小太郎は、フェンリルと言う種類の犬?狼?何だそうだ。
両親や兄弟と幸せな暮らして居たそうな。
ある日、父親と兄弟たちと狩りの練習をしていたら、ドラゴンに遭遇。
とっさに兄弟たちは転移魔法で逃がして貰った。
危機が去ったら帰れるはずが、小太郎は帰らなかった。
日本の山に転移した小太郎は、ウロウロしてる間に保護されて今に至ると。
うん。お前が俺の世界に来た経緯は分かった。
今のこの状況はどういう事なんだ?
小太郎曰く、緊急転移は元の危機が無くなれば戻される筈なんだが、小太郎は俺に会って戻るのを躊躇したんだって。
でも、危機が去ったら帰れるんじゃなかったのか?
そこは好奇心が勝ってしまったらしい‥‥
結局、直ぐに帰れるのを帰らずに、ウロウロしてたら保護されて、俺に会って帰りたくなくなったと。
言っても伝わらないし、もう戻らないと思ってたが、魔法の期限切れで元の場所に強制転移される期限だったと。
だから、ゴメンナサイかぁ‥‥
でも、直前の緑の小鬼は何だったんだ?
あ、転移前に混ざり合った瞬間だったのか?
だから巻き込まれたあの小鬼は多分何処かに飛ばされていったと‥‥
近くに人とか居なくて良かったわぁ~!
話を聞いてる間に、周囲から狼の遠吠えが聞こえてくる。
こりゃ、腹括らないと生きて帰れないな。
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