7
女は管理人のいる小屋に行って、
自分の部屋の鍵を預かる。
セパレートされた建物がいくつも並ぶ宿泊施設。
「モーテルじゃないか」
女は独り言をつぶやく。
「よう、姉さん帰ったのかい」
宿泊客の男が声をかけた。
女は無視するように、
自分の部屋へと急ぐ。
「つれないなあ」
「あんた一人だろう」
「俺も一人なんだ」
「だから何なの」
不機嫌そうにつぶやく女。
「あんたもあいつを追ってきたんだろう」
「稲垣なんて、ろくな奴じゃねえ」
「居場所を知ってるのか」
「まだここには来てねえよ」
女は男の返事を無視するように、自分の部屋の鍵を開ける。
「いくらやられたんだい」
男はニヤニヤ笑いながら女に言う。
男は女が部屋に入ったのを確認した後、
管理人の小屋の方に向かう。
「あの女はいつから来てるんだい」
「昨日からだよ」
「そうか」
男は自分の部屋の方に歩きながら、
もう一度女の部屋を見た。
「ついに動き出したかな」
男は自分の部屋には戻らずに、
大通りを歩きはじめる。
そんな男の様子を、
女は自分の部屋のカーテンの隙間から覗いていた。
女は部屋の明かりをつけずに、
ベッドに横になる。
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