第7話 幼馴染って王道だろ?

「ねぇ、夕陽ちゃん」


「どうしましたかメイ先輩」


「古木くんとはいつから付き合ってるの?」


☀︎生まれた時からだよな?


☆生まれた時、隣にいたのは朝陽くんだもん


「えっ? 付き合ってないですよ?」


「あれっ? 古木くんの片思い?」


「それもないと思います」


☀︎鈍感だな


☆ブーメランって言うんだよ?


「あ〜、古木くんも苦労してるんだね」


「そんなことないと思いますけど?」


「夕陽ちゃんモテるよね?」


「いえいえ、そんなことないです。私なんてモテませんよ」


☀︎コクられてなかったか?


⭐︎ちょっと違う気がするんだよね


☀︎何がだよ?


⭐︎私のこと知ってる人なんて……


♢♢♢♢♢


「なあ夕陽」


「どうしたの誠くん」


「あ、いや。なんか最近、噂されてないか?」


「?」


☀︎ぼっちには噂なんて無関係だからな


☆ちゃんと友達いたもん


「あれ? まさか知らないのか?」


「何? 私の噂? それとも誠くん?」


☀︎わざとらしいな


☆どっちがかな? 私は本当に知らなかったもん


☀︎卓球部限定だったんだろ?


☆……です


「あ〜、その場合、両方かな? まあ、ぶっちゃけ俺たちが付き合ってるって噂」


「ふぇ? そ、そんな噂があるの? し、知らなかったよ。ごめんね誠くん。私なんかと噂になっちゃって」


☀︎あー、あんたの悪い癖だな


☆でもね?


☀︎デモもストもないんだよ。コクられるくらいのヤツがよく言うよな


☆それとこれとは話が別だと思うんだけどなぁ


「あ、いや。なんで謝ってるんだよ。俺は別に迷惑じゃないし、むしろうれしいと言うか……」


「えっ? ごめんね誠くん。柔道部の音でよく聞こえないよ」


☀︎難聴系ヒロインだな


☆違うもん


♢♢♢♢♢


「あっ! 朝陽くん、やっと来た」


「お疲れっス」


「あっ、うんお疲れ様、って待ってよ。せっかく待ってたんだから一緒に帰ろうよ」


「約束してないし」


「サプライズが好きなんで」


「寄りたいとこあるし」


「あ、付き合うよ?」


「……AV借りるんだけど?」


「18歳未満はお断りです」


「……普通に帰るんだよな?」


「うん! それでもいいし、どこか寄ってもいいよ」


「2時間ご休憩とか?」


「高校生はご利用できません。ってさっきから下ネタばっかり」


「嫌だろ? じゃ、そういうことで」


☆不器用なんだから


☀︎誰がケンさんだよ


「本気なら、いいよ?」


「……あんた、もの好きだな」


「ちゃんと名前で呼んで欲しいな」


「はいはい。じゃあ帰るかメイ。腹減ったからコンビニ寄りたい」


「うん、じゃあLチキとファミチキどっちにする?」


「おい! 何、自然に腕組んでるんだよ。胸が当たって気持ちいいだろ!」


☆えっちだぁ


☀︎誰がだよ


「当ててるんだよ。って言えばいい?」


「普通に触るぞ?」


「……付き合ってくれるなら考えるけど?」


「俺はLチキ派だ。バンズで挟もうぜ」


「むぅっ! 私の胸で挟んであげるからね」


「メイ、みんな見てるけど大丈夫か?」


「ふぇ? あっ! は、早く行こう」


☆メイ先輩たまにおっちょこちょいだよね


☀︎ただのポンコツだぞ?


♢♢♢♢♢


「ねぇ、古木くんは告白しないの?」


「なんですか先輩。藪から棒ですね」


「だって夕陽ちゃんモテモテなんだよ? いまはクラス内だけかもしれないけど、そのうち1年生に広まって、さらには学校中に広まるんだよ? 悠長に構えてて大丈夫?」


☀︎さすが恋愛脳だな


☆あはははは。否定できないね


「……はぁ、まあわかってはいるんですけどね。幼馴染だからって安直じゃないですか? だからあいつにどう思われるかって思うとなかなか踏み込めないんですよ」


「虎穴に入らずんば虎子を得ずだよ?」


「ちょっと違いません?」


「あれ? そうかな?」


「まあ、言いたいことは分かりますけどね。そういう先輩はどうなんですか? 告白するんですか?」


☆するのかなぁ


☀︎いまさらだろ


「私? もうしてるようなものだけどね? でもはっきり伝えるつもりだよ。"好きだよ"って。古木くんは伝えないのその気持ち。幼馴染が王道で何が悪いの?」


☀︎たまにはいいこと言うんだな


☆も〜


「俺は……」


「決めるのは古木くんだからね。私は一足先にラブラブになっちゃうからね」


☀︎誰とだよ


☆誰とだろうね?


☀︎なんだよその目は

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