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奈々とは小中学校からの幼馴染である。高校は別になったけれども、大学でばったり再会した。入学する前、下宿が隣同士だと知った時の驚きといったらない。
再会した彼女は、中学の頃とは少し雰囲気が変わっていた。眼鏡をコンタクトレンズに代え、ほんの少し髪を染めてパーマをかけていたし、薄いけれどもちゃんと化粧をしていた。往年の『委員長』のイメージが崩れ、大人っぽく、女性らしくなっていた――中身は少しも変わっていなかったけれども。自信があって、少し気が強くて、しっかり者。泰樹がナナリーは変わらないなあと笑って言うと、あんたもね、と言い返された。
スーパーまで行く途中、気が進まなかったものの失恋したことを明かした。奈々は同情するでもなく、ただテレビのニュースを聞いているかのように、黙って最後まで聞いていた。
「そう。でももうお互いに踏ん切りがついてるなら、仕方ないね」
「まあ、だんだん冷めてってることは分かってたんだけどさ」
「だけど?」
「チョコレートの数を見て、思い知らされたというか」
言ってから泰樹は、ああ、言わなければよかったと思った。数がどうのこうのと言う細かさ、それに彼女にくれと言っているようなものではないか。しかし彼女は、
「ああごめん、作ったチョコ、もう全部配っちゃった。泰樹の分も残しておけばよかった」
と軽く流しただけだったので、泰樹はほっとした。
「いや、ごめん、別に欲しいだなんて言うつもりじゃなくって」
「分かってるよ」
奈々は気遣うような笑みを見せた。あれ、こういう人だったっけ、と内心思ったが泰樹は何も言わなかった。
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