第4話 サラリーマン 編
サラリーマン 編
底曳網漁船を経験したけど、陸で働いてる同級生たちが眩しく見えたものだから、船なんか、さっさと降りて、サラリーマンになることにした。とりあえず職安でみたところに面接受けたら、使ってもらえることになった。病院の医薬品のルートセールスだ。給料なんてクソみたいなもんだったが、とりあえずスーツ姿にはなれた。生意気絶好調の俺には社会の常識を知るにはいい経験になったと思う。自分に割り当てられた担当の病院のご用聞きと配達だが、医者から見たら使用人以下の下男扱いみたいなもんだ。スーツ着てネクタイして格好は一丁前だが、何を言われても忍耐一筋の仕事に俺は我ながらよく耐えたと思う。この経験がなかったら、その後、事業を広げることはできなかっただろう。毎日ストレスで爆発しそうだったから、毎日飲み歩いて日々、午前様だった。当然 お金はない。クソつまらない仕事を五年も耐えた。そして結婚したのだが、俺のことを面白く思わない医者が会社にあれこれイチャモンをつけたもんだから会社は俺を倉庫番に左遷した。
俺は怒り心頭に達した。女房は妊娠していたが、怒りの治まらない俺は会社を辞めた。女房 子供ぐらい養ってやるとは言ったものの、はて、何をしようかと思っていたところに、前の底曳網漁船の会社が復帰してカニ船を操業していた。俺に選ぶ権利などなかった。
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