第46話 結婚

17日になり春樹の誕生日、朝起きると体の調子がすごく良かった。

いつものように身体はだるく無く、思い通りに動かせていた。


朝の診察の時先生に話して少しだけ外に出れることになった。


今日は金曜日、普通なら嬉しい曜日だが私は最近、週末になると悲しくなる。

もう一週間が過ぎたのだと実感してしまうから。


昼になり少し散歩をしようと立ち上がった時ちょうどドアが開いた。

そこに立っていたのは春樹だった。


「どうしたの?」


「春!?お前、立てるのか!?」


「う、うん。今日は何故か調子が良くて、少し散歩でも行こうかなって!」


春樹は駆け寄って私を支えた。


「無理するなよ。」


「うん。それより、学校は?」


「3年生は今週一登校だから、今日は休み。部活の奴らしか行ってないけど、部活の引退式は昨日だったからな。他のやつも今日から行かなくなると思う。」


「そっか…。あ、春樹、誕生日おめでとう!!」


「ありがとう。」


「春樹、少し付き合って。」


私ははるきを引っ張って病院にある簡易的な庭に向かった。


外はすごく寒かったが春樹がずっと手をつないでいてくれたため何故か暖かく感じた。


「春樹…、あの桜道、また一緒に見ようって約束、守れない。私、もうそろそろだと思うの。」


「何言ってんだ。調子がいいんだろ?もしかしたら少し回復したのかも。」


「はは、そうかもね。」


私は隣を歩く春樹に抱きついた。


「ありがとう。こんな私を好きになってくれて。いつも来てくれて。ワガママ聞いてくれて。本当にありがとう。」


「やめろよ。まだ早いだろ。」


「言える時に言っておかないとね!」


私は離れて春樹の手を取ってまた歩き出した。

しばらく無言で歩いているとはるきが急に立ち止まり私の手を引っ張った。


「どうしたの?」


「春。俺たち、結婚しないか?今すぐに。」


私は頭が真っ白になった。

嬉しいけど、素直に受け入れられない。


「えっと…、それはその…。」


「春がなんで迷ってるのか分かってる。けど、俺は春がいるうちに家族になりたいんだ。結衣たちも籍入れるって言ってるし。」


「春樹…、ありがとう。うん。結婚しよう!」


私が受け入れると春樹はとても嬉しそうに微笑んだ。


「今から婚姻届貰ってくるから。病室で待ってろ。」


春樹は私を近くの看護師さんの任せて走って去っていった。その後ろ姿はとても幸せに満ちていた。


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