第31話 答えは

「結局、解散したのは5ヶ月間だけ…、すぐ戻っちゃったけどまたすぐ解散することになるんだよなぁ…。」


「春ちゃん、ここは喜ぶべきだよ。」


オーナーと打ち合わせの為二人で話し、また再結成して、来月のライブにみんなで出ることを伝えた。


「すみません。予定大きく変えてしまって。」


「いいよ。春ちゃんのやりたいようにやるといいさ。若いうちは何をしてもみんな優しく応援してくれるから。」


「オーナー…。」


「それと、フォークロの件、上手く行きそうだよ。」


「ほんとですか!?」


思わず身を乗り出して聞き返した。


「え、でもどうやって…、ついこの間まで無理だって諦めモードだったのに…。」


「春樹くんだよ。多分ライブの話聞いてこうなることは分かってたんだろうね。フォークロのこといっぱい調べたみたいで、元メンバーと連絡取れるまでになってるらしいから、春樹くんに任せてたら、来月のライブ来てもらえることになったって聞いたよ。」


「春樹がですか…。」


「なんかあった?」


「どうしたらいいか分からなくなったんですよ。」


「春樹くんのこと?」


「私、春樹の事本当はすっごい好きなんです。多分春樹も私の事は好きで、この間告白されたのをかわして、幼なじみとしての好きだって押し通してしまって…。」


「えー、付き合えばいいのに。」


「でも私あと半年もしたら居なくなるんですよ?いなくなるのに、付き合うのってお互いキツイかなって。」


「なるほど。これぞ青春だね。悩めよ若者。」


オーナーはニコニコしていた。


「私本気で悩んでるんですよー?」


「わかってるよ。でも、そんな簡単なことで悩めるのは若いうちだけだから。」


「簡単なこと?」


「ヒントをあげよう。春樹くんは、病気のこと気づいてるんだよね?」


「え?」


「え?」


2人で目を合わせて静かになった。


「えーと、春樹くんはもう気づいてると思うよ?あの子、よく見てるから。」


「つまり、春樹は私の病気を知った上で告白して来たと?」


「そうそう。」


「ん?でも待ってください。わたし、春樹に好きとは言われたけど、付き合って欲しいなんて言われてない…。」


「今どきの若者は付き合って欲しいとか言わなきゃ交際は始まらないものなの?すっごい不便だね。」


「…そんなつもりじゃないんですが。」


「言い訳はいいわけよ!……。ごめん。それはただの言い訳にしか聞こえないからね?返事ちゃんと考えるんだよ?まぁ、そんな必要ないかもしれないけど。」


オーナーはそう言って立ち上がってお疲れ様と一言残して部屋を出ていった。

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