二学期
第26話 9月
夏休みの残りを全部作詞作曲に費やし、簡単なフレーズだけは出来た。
いつもは4人分のパートを考えていたため時間がかかったが1人分だけとなるとかなり早く終わって練習に打ち込む時間がかなりできた。
「春!おはよう!夏休みどうだった?」
「どうも何も、ふつーだよ〜。てか9月でもこんなに暑かったっけ?」
「まぁ受験生が遊べるわけないか〜。あれ、春は就職だっけ?」
「ん〜…。」
「まだ決まってないの!?ヤバくない!?」
「まぁ、言うほどやばくは無い。知り合いから誘われてるし…。」
「あー…なるほどね。」
「あ、今月体育祭じゃん。めんどくさい…。」
「わかるわぁ。それどこじゃないってのほんと。」
「みんな勉強大変だねぇ…。」
「人気者は楽でいいね…。」
私たちは机に頬をぺたんとつけて話していた。
教室は冷房が付いているが温度が勝手にいじれないようになっており、なかなかの生温さに少し体調が悪くなってきた子も出てきた。
次々と入ってくるクラスメイトの絶望した顔を見るのは楽しいのだが、これ以上は耐えられないと思ったのか何人かが職員室に走っていく姿が見えた。
「なんて元気な…。」
「体育祭ヤダ。」
「まだ言ってんの?行事だから諦めて。」
「春…、雨乞い一緒にやろう。」
「そこまでするほど嫌か。」
「1年の行事の中で1番嫌い。なんで無くならないのかな?決めたやつ誰だよ。」
「1つ前の校長?」
「文句言いに行くか…。」
「仁美がおかしい…。」
「いつも通りよ。」
「いつもより暴力的だよ…。」
1ヶ月ぶりに会った親友に私は内心とても癒された。
仁美と笑い合いながらくだらない会話を繰り広げるのはやっぱり好きだ。
教室のドアが開く音。
椅子を引く音。
クラスメイトの声。
先生たちの声。
やっぱり好きだ。
私はこの一時の幸せを噛み締めながら今日も一日を過ごす。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます