第24話 計画

次の日、私は直接ライブハウスに行きオーナーと日程を決めた。


「何をするかとドキドキしたけど、やっぱり春ちゃんらしいね。1時間とはいえ大丈夫なの?その、身体とか…。」


「大丈夫じゃなくても大丈夫にします。」


私はオーナーに病気のことを話した。

ワガママに付き合ってもらうのに理由もなしじゃさすがにダメだと思ったからだ。


「無理しない程度にね。で、他になにか要望とかある?」


「あ、それが、昔有名だったフォークロってバンド知ってますか?」


「え?あぁ、うん。知ってるよ。」


「そのフォークロって今何してるとか知らないですよね?多分年代的にもオーナーの年代に有名になったバンドだと思うんですけど…。」


「さ、さぁ。分からないなぁ。そのフォークロに何かあるの?」


「実は、聞いて欲しい人がいて、その人もオーナーと同じ年代の人で元バンドやってた人なんですけど、私が入院してギター弾いてたときそれを見たその人がちょっと複雑な顔してて、もしかして未練があるんじゃないかなって。だから、当時有名だったバンドの曲聞けば、またギター弾いてくれるかなって思ったんです。」


「なるほど。春ちゃんってホント、音楽大好きだね。」


「もちろんです。私の世界は音楽ですから。」


「こんな子を…、神様って本当に酷いね。ミューズもきっと泣いてるよ。」


「私は…、ミューズが与えた試練だと思ってます。」


「そうかもね…。」


2人で小さく笑ってそのまま、おおまかな計画を立てる。


日程は11月23日。私たちの結成の日。

ノーネームができた日である。


「じゃあまた詳しい内容とかはおいおい決めていこう。フォークロの件は当時の知り合いあたってみるから。」


「はい!ありがとうございます!!」


私はオーナーに手を振って立ち去った。

不意に思い出し後ろをふりかえる。


「そうだ、オーナー!このことは結衣達には絶対漏れないようにお願いしますよー!!」


「分かってるよー!!」


この日は帰って久々にギターを弾きまくりお母さんにうるさいと怒られた。



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