夏休み

第22話 最後の夏休み

気温がだんだん高くなり外に出ることが嫌になるが、同時に学生が大好きな夏休みが始まる。


まぁ、宿題やら課題が沢山出る訳だが。


それでも私にとってはこれが最後の夏休み。

やりたいことを今のうちにやっておくのがいいだろう。


「お母さん!海行きたい!あと山登りもしたい!!」


「はいはい。」


こんな会話を毎日のように交しその度に笑って答えてくれるお母さん。

でもお互いに考えてることがわかってるからこそ、笑って過ごしている。


ある日の夜。


「お盆の日、お父さん仕事休みだし、お母さんも有給貰うことにしたから、そこで旅行にでも行こうと思うけど、どう?」


食卓を囲み楽しく話しながら夕飯をとっていた時、お母さんは嬉しそうにガイドブックを出しながら提案した。


もちろん私は、


「行きたい!!」


「じゃあ先生にも許可取りに行かないとね。ちょうど明日検診の日だし先生に聞いてみて。」


「うん!!楽しみだね!」


「春。そんなに飛び跳ねるな。」


私が嬉しくてついてスキップしながら空の食器を流しに持っていくとお父さんが心配してくれた。


「大丈夫!!最近すっごく調子いいし!」


「そうは言ってもだな…。」


「わかってるって!じゃあ私もう寝るね!おやすみ!」


私は最近9時にはベッドに入って寝るようにしている。ご飯を食べすぐに眠りにつくと次の日の調子がとても良くなるからだ。

これは多分私がそう思っているだけかもしれないが、少しでもそう感じると本当に良い気がするからこの早寝の日課は最近辞められなくなっている。


調子が良くなっているというのはあくまで気がするだけであって本当のところは夜中に痺れで必ず目が覚める。最近は右半身の痺れになり自分なりに少し覚悟をしないといけないとは思い始めた。


私は部屋の壁に立て掛けてあるギターを眺め、あの歌を口ずさむ。


「最後になったとしても…。」


このフレーズまでは歌えた。しかしそのあとは眠りに落ちて歌えていたかは覚えていなかった。

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