第21話 心配
あの日そのまま病院に運び込まれ担当医の桜木先生に話を聞かれた。
「大丈夫?」
「うん。」
「ほんとに?」
「最近、やること多いなって。」
そう言って笑うと先生も笑ってくれた。
「そっか。」
その日はそのまま家に帰って様子見となった。
お母さんは相当心配していたらしく涙目になっていた。お父さんも仕事を早退したらしく珍しく夕方に家族が揃った。
そこには幼馴染達もいた。
「春ちゃん…。」
「お前、やっぱりなんかおかしいぞ。」
「大丈夫だって!ちょっとした貧血!」
春樹は私たちの会話を無言で見てるだけだった。
久しぶりに家族と幼馴染みんなでご飯を食べた。
「昔を思い出すわね!小さい頃はみんなで食べることが多かったわよね!」
母さんが気をきかせたつもりだったのか昔の話を持ち出す。けどやっぱりみんな元気がなく、
あまり箸が進んでいなかった。
「あのさ皆、私本当は…。」
「春ちゃん…。」
言うべきなのだろう。みんな心配して、こんなに元気が無くなっている。学校が違うのにわざわざ倒れた報告を聞きみんな来てくれたんだ。
「その、実は…」
ここまできて言葉につまる。
「実はさ、今日会った先生がさ、昔、弦狂いって異名で呼ばれてた夏生さんだったの。なんか聞いたことおるなぁって、なんだっけ?」
「え、あの有名な!?」
「結衣知ってるの!?」
「もちろん!へぇ、今ではあの人が医者に…。」
「え、誰々?」
「んー?ないしょー。」
この話題を持ち出して結衣は元気になったみたいでそのあとは私たちは楽しく話しながらご飯を食べた。
しかし、康太と春樹は無言のままだった。
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