閑話【折れてた!!】

「畜生め!!」


どん!! と机を叩くゾイサ。

ジェスター教国に密かに建てられたソク家の前線基地と言う名の一軒家の

居間で不機嫌になっているのだ。

準備でかなりの時間を使ってモルガナの所に向かったが

準備をせずにとっとと戻れば意外と早く着けるのだ。


「この俺を足蹴にした挙句に投げ飛ばすとは・・・何という事だ!!」

「あの・・・ゾイサ様?」

「あぁ!? 何だ!?」


騎兵隊の一人が言い難そうにしている。


「言ってみろ!! 何だ!!」

「あの・・・先程掴まれた手・・・」

「あん?」

「折れて・・・ません?」

「・・・・・」


ゾイサは自分の腕を見る、 確かに折れている様だった。

蹴られた痛み等で気が付かなかった。


「治療の魔法使いを呼べえええええええええええ!!」

「は、 はいいいいいいいいい!!」


何とか治癒魔法で回復したゾイサ。

とは言っても骨を繋げただけで軽度の骨折と同じ状態である。

腕は包帯で巻かれている。


「畜生め・・・如何してくれようかモルガナの奴・・・・・

如何にか奴を連れて来なければ・・・おい!!」

「は、 はい!!」

「ここの兵隊全員かき集めろ!!」

「は、 はい?」

「ここの兵隊全員で攻め込むぞ!!」

「ちょっと待て」


マラカが不機嫌そうな顔でやって来た。


「ここの兵達は私の兵だ、 身勝手な事をされては困る

お前がどうしてもと言うから騎兵隊と鼓笛隊を貸したが、 これ以上は困る」

「くっ・・・」


ギリギリと歯軋りするゾイサ。


「それに言っちゃ悪いですが我々は基本パレードとかそういう式典用の部隊で

ガチの戦いは・・・」

「あー!! 分かったよ!! お前達には頼まない!!」


立ち上がるゾイサ。


「お、 おい何処に行く?」

「この近くの街にムースの街って有っただろ? その街に行って兵隊をかき集める!!」

「兵隊を集めるってどうやって?」

「ギルドにでも頼めば良いだろう!!」


バタン、 と思い切り扉を閉めて立ち去るゾイサ。


「・・・・・馬鹿か、 ギルドに頼むにせよ

そんな大がかりな事が出来る筈は無いだろう」

「そうなのでs」


バタン、 と思い切り扉を開けるゾイサ。


「ど、 どうしたゾイサ・・・忘れ物か?」

「誰か馬車の御者をしろ!!」

「しまらないなぁ・・・」


マラカがやれやれと言った様子で呆れている。

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