第156話【Expulsion】

「・・・・・」


バンテージがちらりとバンドとエイドを見る。


「私から話すわ

バンテージはパーティの強化の為にロダンを追い出しちゃったのよ」


バンドが話した。


「そうですか」

「・・・怒らないの?」

「覚えてませんので・・・でもパーティ強化の為に追い出すって変じゃ無いです?

明らかにパワーダウンでしょう? 3人より4人の方が強いでしょうし

回復役が居なくなるのは問題では?」

「回復役はエイドが回復魔法を覚えたから良いだろう、 そう思ったんだ

ロダンが抜けた後には剣豪を加入させた」


バンテージが答えた。


「結果として攻撃魔法と回復魔法を同じ一人に任せる事で

僕の負担が増えて手数が足りず、 剣豪は死んでしまった」

「それから私達は回復役を欲したんだけどバンテージが断固反対したのよ」


バンドとエイドが語った。


「何故?」

「・・・・・俺の独断で追い出したんだぞ

今更どの面下げて回復役を募集しろと言うんだ」

「その時は僕は如何していました?」

「ロダンはその後、 鍛え直していたと風の噂で聞いていたけど

ある時ピタリと噂が止んだな・・・」

「ふーん・・・」


ロダンが後ろを振り返ってデッドを見た。


「俺は教えないぞ」

「あ、 そう・・・」


ロダンがバンテージと向き直る。


「それでバンテージさん」

「バンテージで良い」

「僕が落ち着かないのでバンテージさんで」

「・・・・・分かった」

「僕に一体何の用事なんですか?」

「・・・・・」


バンテージが悔しそうな顔で口を開く。


「もう一度、 俺達のパーティに入ってくれないか?」

「・・・・・如何しよう?」


花子達に意見を求めるロダン。


「追い出して置いて今更帰れって都合が良過ぎると思いますよ」

「そうそう、 それなりの手土産が必要かと」


カリエとベルーズが言う。


「それに何で今更回復役を欲するの?」


花子が尤もな疑問を口にする。


「確かに都合が良い事を言っているって自覚はあるよ・・・

だが何としてでも回復役は欲しいんだ」

「だから何故?」

「実は俺達はテックに依頼をしたいんだが彼が受けてくれないんだ」

「テック?」

「滝の傍に居を構えている初老の鍛冶屋だよ

テック・ノロ爺、 大爺様とも呼ばれている鍛冶の名手だ」

「それと回復役に何の関係が?」

「その話をしようか・・・」

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