閑話【取調室の出来事】

取調室に居るマドルド。

椅子に座りながら笑みを浮かべる。


「・・・・・ふふふ、 助けに来てくれたのか」


机を挟んだ向かい側に居るのは角の生えた男、 明らかに異形である。

それもその筈、 彼は魔王が送り込んだ上位アンデッドである。

数名の改造を加えられたゾンビを従えている。


「色々聞きたい事が有る」

「聞きたい事? それより私をここから出して貰える?」

「それは問題無い、 ここから出してやる

それよりも魔王様から状況を聞いて来いと言われている」

「状況?」

「まずお前を捕まえた奴等の情報を教えろ」

「カレーの街の冒険者、 ヒーラーのロダン、 武闘家のモルガナ

盗賊の花子、 ロダンの治癒魔法は凄まじく失った四肢すら回復させる

黒焦げの私の体も治せたよ」

「そうか、 じゃあここからが本題だ」

「本題?」

「そうだ、 お前如何言うつもりだったんだ?」

「え?」


マドルドがゾンビによって机に叩きつけられる。


「がっ!?」

「お前さん、 売り物のゾンビパウダーに混ぜ物をしただろ?

如何言うつもりでそんな事をした?

ゾンビパウダーをちょろまかして何をするつもりだった?」

「か、 嵩増しして利益を上げようと思っただけよ!!」

「あ、 そう、 何れにせよ魔王様への背信行為だ

それ相応のペナルティが必要だな」

「な、 わ、 私を殺す気か!?」

「勿論だ」

「私はアンタ達に便宜を図っていたじゃないか!? その仕打ちがこれか!?」

「我々も君に金を支払っていたじゃないか、 君の不始末をこちらが拭おうと言うのだ」

「貴さっ」


ぐさり、 マドルドのうなじに短剣が突き刺さる。


「がはっ・・・がはっ・・・私は・・・街を・・・」


血が溢れ始めマドルドは絶命した。


「・・・・・」


上位アンデッドはさらさらとうなじに大量のゾンビパウダーを流し込む。

ゾンビパウダーを死者の体内に摂取させるとアンデッドになる

簡易的なネクロマンシーと言う訳だ。

机から起き上がりふらふらと立ち上がるマドルド。


「剣豪のスキルを持ったアンデッドの出来上がりだ、 魔王様も喜ばれるだろう」

「あー・・・」

「知能が有るのか? 微妙な所だが今日はさっさとジャッキを連れて帰るか」


取調室から出ていく上位アンデッド達。

取調室の外は大勢のアンデッドと死体に溢れていた。

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