第35話【Execution】

起きて階層を登っていくロダン。

少し上に昇ると避けていたが遂に飢えた狼と出会ってしまった。


「がるるるるる」

「狼さんはお腹が空いてるんだね、 じゃあ僕の腕をお食べ」


腕をまくって腕を差し出すロダン。

狼は少し狼狽えたが腕にかぶりつく。

ロダンの腕に激痛が奔る、 当り前だ腕が食べられているんだから。


「・・・・・」


しかしロダンはそんな激痛なんて何のその知らぬと腕を喰わせた。

飢えた狼は腕を平らげた、 ロダンの腕は血塗れで所々骨が露出していた。


「・・・・・マジでやりやがった・・・正気かよお前」


デッドも驚いた眼でロダンを見る。


「腕に噛みついた所で剣で頭を切れば良いだろうが、 何で態々好きにさせるんだ?」

「うーん、 何でかなぁ・・・」


ロダンは滅茶苦茶になった腕に薬を塗った。

当然激痛が奔るがそんな事は気にせずに包帯を巻いた。

そして包帯が発光する、 すると綺麗な傷一つ無い腕が再生した。


「良し治った」

「うぅぅううう・・・」


狼が唸り声を上げた。


「如何したの狼さん、 もっと食べたいの?」


腕を差し出すロダン。

狼は一瞥して首を振る、 よく見ると狼は怪我をしていた。


「狼さん可哀想・・・治してあげるね」


狼に包帯を巻き始めるロダン。

狼は驚いて暴れてロダンを傷つけるもロダンは気にせずに狼に包帯を巻いて

治癒魔法を施した、 すると狼は立ち上がった。

そして先導を始めた。


「着いて来い・・・って事かな」

「恩は返すって事か? 殊勝な犬ころじゃぁねぇか」

「デッドは馬鹿だなぁ、 アレは狼って言うんだよ」

「知っているよばーか、 嫌味だよ嫌味」


ロダンは狼の先導でダンジョンを登っていく。

途中に獣に襲われかけたが狼が唸り声を上げて追い払った。

熊じゃなければ問題は無い、 狼は相当強いのだ。

途中、 別の狼に出くわしても狼が追い払ってくれた。

狼は体躯が大きかった、 恐らく群れのボスとかなのだろうか。


「とても親切な狼だね」

「お前の方が親切だ、 と言うかやっぱ可笑しな奴だよお前は」

「そうかなぁ、 だって傷を治せるなら腕を差し出すでしょう普通は」

「普通は激痛でそれ所じゃねぇと思うけどなぁ、 お前痛くないの?」

「痛いけど我慢できるから」

「やっぱおかしいわ・・・」


呆れかえるデッドだった。

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