第36話【Trolley】

狼の先導で順調にダンジョンを登っていくロダン。


「もう95階登ったからここは地下5階かな」

「そうなるかな?」

「じゃあ残りは5階かぁ」

「いや6階だ」

「地下100階だから残り5階でしょ?」

「いや地下100階+地上1階だ」

「なるほどぉ・・・」


そして地下4階へと上る

くぅん、 と狼は立ち止まった。


「如何したの?」

「ふむ、 この先には行きたくないみたいだな・・・」

「・・・・・」


狼の頭を撫でてロダンは階段に足をかける。


「お、 行くのか? 多分ボスフロアだぞ?」

「そう・・・なのかな? 次のフロアには何もいないみたいだけど・・・」

「そうか・・・」


一歩一歩先に進むロダン。

地下四階に居たのは蒼褪めた馬に乗った騎士だった。


「え? 何で?」


スキル【行脚】には何も反応は無かった。

にも拘わらず眼の前に居るこの騎士は何だ?


「ほっほう、 私の事が見えるのか少年よ」


騎士が好奇の声でロダンに声をかける。


「見えるのかって・・・まさか貴方は!!」

「ふふ、 その通り」

「お化け!!」

「うーん、 ちょっと違うかなぁ・・・」


困った様な騎士。


「私はここの門番をやっているんだよ」

「そうなんですか」

「そう、 だからここに来る奴を片っ端から斬り伏せている」

「へぇ・・・」

「登って来た君は・・・如何するべきだろうか」


考えるそぶりを見せるロダン。


「見逃して下さい、 僕は外に出たいだけなんです」

「外に出て何をするんだ?」

「皆を助けたいんです」

「・・・ふむ、 ならば良いだろう、 では君に質問をしよう」

「質問?」

「まず前提条件として君は橋の上に居る」

「うん」

「そして君の隣には人が居る」

「うん」

「橋の下にはトロッコの線路が有り、 トロッコが疾走している

そしてトロッコの線路の先では作業している5人の人が居る

君の隣に居る人を突き落とせばトロッコは止まって5人は助かる

逆に君の隣の人が死ぬ、 突き落とさなければ君の隣の人は助かるが5人が死ぬ

君は如何するかね?」

「自分で飛び降りてトロッコを止めます」


即答するロダン。


「・・・君が死ぬぞ?」


騎士は何言ってるんだコイツと言う目でロダンを見る。


「僕は自分に治癒魔法をかけるんで大丈夫です」

「いやそういう問題じゃなくて、 君が治癒魔法とか使えなかったら」

「飛び降ります」

「待て、 これはそういう問題じゃない」

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