第5話 擬き舐めんな
「はっ、たかだか少し大きくなった程度で随分大きく出たな」
「その少しが命取りになるって知らないのかしら?」
瞬間、キバは顔を伝う血を指につけ、空中に六芒星とそれを囲むように円を描く。
その中心に
「〔血、槍、魔術、複合・・理解した〕〈
鋼属性魔術、〈
槍が弾丸のように宙を舞い、ラミアの周囲で乱舞、刺突する。しかし突き刺さっても致命傷とならないのがヴァンパイアの厄介なところである。
そして、少し刀身が伸びただけでも作戦の変更を余儀なくさせられる。
(たった1ミリ2ミリ伸びただけで間合いが完全に狂った・・・こりゃ骨が折れる)
逆手で振り回されるダガーを難なくかわすが、やはり間合いが変わることで距離感を掴みにくくなっている。
(そろそろ、ガチで相手すべきか)
回避一点張りだったキバが、攻勢に出る。
「〈
円形の斬撃を使い、広範囲に威力を行き渡らせる。ラミアの脇腹を掠めた一撃、空中へと一時的にだが逃げられる。
追撃とばかりに風で鋭い糸を生み出し仕向ける。肩を貫通した風は、天井に刺さりほどける。
「月夜の戦闘も、悪くねぇな」
不敵に笑いながら、キバはそう呟いた。
黒い剣は夜闇に紛れて判別が難しい。その上キバの使う黒魔術は基本的に黒が主体。つまり夜戦においてキバはかなり優位に立つことができる。
しかし、自分と同じように空中戦や夜戦を得意とするヴァンパイア相手に苦戦を強いられる。まるで、自分と戦っているかのように思える。
「あはは!!また伸びた!!」
恍惚の表情を浮かべながら狂喜するラミア。また少し傷をつけられたキバの血を吸って刀身が伸びる。
(約1センチってとこか・・・ダガーサイズから少し小さめの剣くらい。さらに作戦の変更をせざるをえねえ)
滑空や羽による加速とそこから繰り出される連撃がラミアの戦闘スタイル。そこをた攻略しない限りは勝つのは難しいだろう。
(見ろ、多分奴は腕全体を使わないとあれほどの威力の連撃を使えない。なら腕を見て次を予測しろ!!)
小枝みたいな細腕に筋力はそこまで無い筈。根拠の無い自信を胸に、視覚での行動予測を試みる。
(左腕が斜め右上、右腕は下方向・・・なるほど噛み合わせ系の技か!!)
噛み合わせ系、上下から噛むように刃を突き刺す技。そうなれば、策はある。
跳び上がり、体を横向きに。地面と平行になるような体勢で放つ一撃。
「〈
間合いいっぱいに放つ回転斬撃。ダガーを弾きとばすどころか、ラミアの体、足元から胸辺りまでを一閃する。
(切り口が浅い、そしてやはり銀武器のほうがダメージを与えれる)
ヴァンパイアは聖属性と呼ばれる清い武器や銀の武器が弱点。
(この勝負、勝てるかどうかは五分五分かそれ以下。格上相手にいかに第三段階を使わずに勝てるかが鍵だな)
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