第4話 人界からの迷子さん
サトリ:皆さんこんにちは、今回よりこの番組のナレーターを務めさせてもらいます
魔界時間12:00 コナモン首長国連邦 首都テッパン
雛を肩車する大柄な女性
???:お嬢、あっちこちから良い匂いすしますね〜♪
雛:夏希はん、ウチお腹すきましゅたぇ〜。
夏希:おっと、そりぁ大変だ!
サトリ:この大柄な女性は雛ちゃんに仕える天界宇宙最古にして最強の古代兵器ヴァルキリーはシングルナンバーズの1体で
夏希:お嬢のお腹の気分は?
雛:ウチお好み焼き食べたいどしゅ♪
夏希:あいよ〜♪それじゃあ・・・
一件のお好み焼き屋に目が止まる
夏希:彼処にしようか。
『お好み焼き屋
政夫:らっしゃ〜い!カウンター席空いてるよ〜♪
サトリ:こちらはオーク族の政夫さん。お父さんのご実家は農林水産超大国カントリア王国で、このお好み焼き屋の店主です。
カウンター席に座る2人
雛:あっ!鳥しゃんどしゅえ〜♪
夏希:お?アタイのデータベースに無い鳥だねぇ。
政夫:ああ、コイツは先代の店主だった親父が人界の大阪って所で修行した帰りに近所のペットショップから
雛:インコはん、おこんにちわ〜♪
インコ:コンニチワ、コンニチワ!
雛:喋りましゅたえ〜♪
政夫:名前はツカサっていうんだ。不思議だろう?色んな声や音を覚えさせりゃこうして真似するんだよ。
夏希:ほ〜ん。
雛:お利口しゃんどしゅえ〜♡
店内に入る人間族の女性
???:空いてますか?
政夫:そこのお嬢ちゃんの隣が空いてるよ♪
雛の隣に座る女性
政夫:アンタ、人間かい?ここいらじゃ見ない顔だね。もっとも、生きた人間が居る事自体珍しいがね。アンタ、名前は?
夏海:夏海、一ノ
政夫:ご注文は?
夏海:トン玉並1つ。
サトリ:トン玉はトンテク玉の事で、トンテクは人界でいう豚にあたる家畜です。
政夫:あいよ、そっちのお嬢ちゃんは?
雛:キャベ盛り玉!
政夫:おいおい大人なら良いが、30歳のチビッ子にはキツい量だぞ。
※30歳は人界でいう3歳
雛:や〜やっ!
政夫:困ったな〜。
夏海:あ、私が並から小に変えてこの子が残したら私が食べますからお願いします。
政夫:そうかい?悪いねぇ。
お好み焼きを焼く政夫
夏海:・・・
暗い表情を見て話しかける政夫
政夫:お嬢さんはいつ頃どうやって
夏海:先週です。雨の中歩いていたら、ひったくりとぶつかって車道に出てしまってトラックに・・・
政夫:気が付いたらこっちに来てたと。
夏海:はい。日本では漫画やアニメで流行ってるんですが、これって異世界転生っていうんですよね?
政夫:いや、そいつは違うな。
夏海:え?
政夫:異世界転生とか異世界転移ってのは、天界の一握りの神様。それこそ神王様や惑星担当神様みたいな位の高い神様にしか使えない
夏海:そうなんですか?
政夫:その法律には特典みたいなモンがあってな、それを行使して救済した神様は出世の鍵となる信仰値ってのがぐ〜んと上がるんだ。そのせいか、欲深い神々は色々と理由を付けてはガンガン使うから今天界宇宙で問題になってるんだよ。
夏海:魔族は出来ないんですか?
政夫:俺達魔族がか?そりゃ無理だ、そもそも俺達魔族には
夏海:そうなんだ。
政夫:何か悩み事か?
夏海:分かります?
政夫:長年こうやって客と面と向かって食いもん出してる客商売してりゃすぐ分かるってもんさ。
夏海:私、器用貧乏なんです。
政夫:器用貧乏、なまじ器用なために一事に徹する事が出来ず結局は大成しないってアレか?
夏海:はい。
政夫:何でも卒なくこなすから目的を見失っちまってるってわけか。つまりは自分のやりたい事が見付からないってわけだな?
夏海:そうです。
政夫:・・・なら色々やってみな。
夏海:え?
政夫:器用・不器用問わず俺達知恵ある生きもんってのは誰しも若い内はそんなもんさ。俺も300歳手前になるまで悩みに悩み抜いてこの道を選んだんだ。
夏海:でも私達人間はあまり時間はありません。
政夫:大丈夫だ。コイツも寿命は5年から10年って親父から聞いてたけど、この魔界で1年居たらかれこれ200年生きてるんだからよ♪
夏海:200年⁉︎
政夫:人間は半年くらい居たら自然と寿命も若い時期も100年単位で延びるぞ♪
夏海:・・・決めた!私魔界に移住する!
政夫:ゆっくりやりたい事を見付けな♪
夏海:はいっ!
食べ終わってセキセイインコをジッと観察する雛
政夫:どうだい?ギブアップか・・・嘘だろ。
夏海:凄い!完食してる⁉︎
雛:なぁなぁ、この子あんまり食べへんのやけど。
政夫:ああ、人界の鳥って何食うのかさっぱり分からなくてな。知り合いに聞いたら普通に鳥の餌でも大丈夫って言うから与えてるんだが、食うには食うがあんまり食わねえんだよ。
雛:聞いてみる〜。
政夫:あ、そうか!お嬢ちゃんはハーピィ族だったな。ハーピィ族は鳥の言いたい事が分かるんだ。
夏海:へぇ〜。
夏希:お嬢、それなら周りにも分かる様にしたらどうだい?
雛:ナイスアイデアどしゅえ〜!ナレーターはんお願いしましゅえ〜♪
サトリ:は〜い♡それでは音声さん、翻訳フィールド情報更新お願いしま〜す♪
雛:ツカサはんどないしてご飯あんま食べへんの?
ツカサ:あたしゃのご飯はパセリか豆苗これ一択だよ!
政夫:パセリか豆苗だぁ?そういや親父、見たことの無い野菜食わしてたな。確か昨日親父の実家から送られてきたダンボールん中にあったな。
店の奥からダンボールを持ってくる
ツカサ:それそれ〜!それがあたしゃのご飯だよ〜♪
ダンボールから手紙を見付ける
政夫:ん?婆ちゃんからの手紙か、何々〜?『政夫や、そろそろツカサのご飯が無くなりそうだと思うから送っとくよ。豆苗はわき芽を2つ残して種に水が浸からない様にすればまた生えてきて収穫出来るからね。婆ちゃんより』
豆苗を収穫してツカサに与える政夫
政夫:はいよ。
ツカサ:ウマーーッ♡
雛:モリモリ食うとる♪
夏海:ご馳走様でした〜♪お勘定お願いします。
政夫:はいはい、夏海ちゃんは良心ランクAAAだから無料だね。
パネルに手をかざす夏海
音声ガイダンス:良心ランク決済が完了しました。
政夫:頑張れよ♪
夏海:はいっ!
雛:ご馳走様どしゅえ〜♪
夏希:そんじゃ、お勘定を。
政夫:あいよ。
パネルに手をかざす雛
音声ガイダンス:ビーストヘッジ工科大学魔導工学名誉教授、
政夫:驚いたな〜、あの高名な京都教授のお孫さんかぁ!
雛:美味しかったどしゅえ〜!また来ましゅえ♪
政夫:おうっ!また来な♪
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