第37話 第1回イベント前半戦3
目の前にはたくさんのスライムがいた。
見慣れた青い奴、この前倒した紫の奴、緑の奴も居れば赤い奴もいる。
俺は今、東の大陸第三層 'スライムの森' にいた。
『魔王だー』 『魔王ぽよー』 『魔王ぷるー』
『やっちゃえー』 『倒せー』 『ぷーるぷるー』
常時発動スキル '魔王の心得' のせいで喧しいこと、この上ない。
「おらっ、俺様の剣の錆になれ」
たまに出てくるプレイヤーもうるさい奴ばかりだ。
平均レベルはスライムらしく10以下だが、数が多すぎて面倒くさい。
無駄に好戦的なゼリー達はピョンピョン、ピョンピョン跳ねてくる。
しかも、たまに痺れたり、毒になったり、熱くなる奴がいるので油断も出来ない。
『ぴぎゃー』 『プルー』 『たのしー』
剣を振るのも面倒になった俺は、スライム達を掴んでは投げ、跳ねてくるのを殴り飛ばし、サッカーボールの様に蹴り飛ばした。
ちょっと楽しくなってくる……
ペットと遊ぶってこんな感覚なのだろうか?
この森に入ってから2つ良いことがあった。
1つ、この森のスライムは倒すと高確率でアイテムをドロップする事、
HPや魔力を回復する回復薬や魔力剤と、状態異常を治す解毒剤や麻痺緩和剤、等は何個持っていても困らない。
あの堕天使系勇者から受けたダメージは既に回復済みだ、ちなみに、奪えた所持金はたったの500wだった。
歩合給にして5円玉1枚、ブラック労働も良いところだ。
もう1つ、プレイヤーとのエンカウント率が大幅に下がった事、
三層目に来るまであれほどウロウロしていた人間と遭遇する事が少なくなった。
今では15分毎に会えれば良い方だ。
ピコンッ
体術(4)が体術(5)に進化しました
体術(5) 肉弾戦で与えるダメージ5割アップ 速度+50
進化条件 体術のみで500体のモンスターを倒す
踏ん付けていたスライムが消滅すると同時にアナウンスが流れる。
踏んだり、投げたりも肉弾戦にカウントしてくれるらしい。
そういえばポイントを振り分けてなかった。
ステータスを見ようとして気付く、もう17時を過ぎていた。
多くのプレイヤーとの戦いでずっと集中していたからだろうか、7時間以上もプレイしていた気がしない。
こうなってしまったら仕方ない、深い層を目指すのは諦めてここでアイテム収集と行きますか。
俺は跳ねてくるスライムと遊んであげる事にした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
労働終了時間まで残り5分、森に異変が起こる。
『ぴー』 『逃げろー』 『おうさまだー』
『プルルン』 『プルルン』 『僕は悪……』
急にスライム達が森の奥へと逃げていく。
ドシンッ ドシンッ
地鳴りと共に何かが近付いてくる、
ドシンッ ドシンッ
徐々に見えてきた音の原因は巨大なスライムだった。
頭に王冠を乗せた七色のスライム
キングスライム レベル50
スライム
HP200/200
攻撃100
防御50
速度 5
技術 5
魔力100
パラライズ(10) ポイズンブレス(10)
スキル
自動回復(1)
ステータスを見ると同時に俺の体が発光する。
『侵入者よ、よくも我……
そして言葉を聞き終える前にゲームの世界から弾き出された。
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