第30話 俺の報酬と第1回イベント概要



 ログインの時と同じく黒い世界に光が流れる。

 目の前から光が無くなるのを確認したので、ゆっくりと装着していたマシンを外す。


 明るかった部屋は薄暗くなっていた。

 もう2月も終わってしまうというのに物凄く寒い。


 まだゲームを終えたばかりだからかもしれない。

 隣に妖精がいない事を確認すると少し笑ってしまう。

 とりあえずお腹減ったな……


 視界に入った時計には17時35分と書かれていた。

 あぁ、7時間位やっていたのか……


 色々なダイブ型のゲームが開発されたが当初期待された時間加速は結局実現出来なかったらしい。


 昔の番組で、

 加速した時間分の寿命が縮むのでは無いか?

 勉強する時間が多く取れるのは不公平では無いか?

 等と議論されていたのが懐かしい。


 ピロンッ

 携帯が鳴る。


 どうせ学だろう、無視したままご飯を食べに行く。

 階段を降りながら差出人を確認すると知らないアドレスからメールが来ていた。


 リビングのドアを開ける。

 共働きの為、家には俺1人だ。

 テーブルにはオムライスが乗っている。


 暖めている間にメールを確認する。

 いつの間にか2件届いていた。


 オムライスを口にしながら1軒目を開く。


'給料と福利厚生について

 基本給20万+歩合給(1000w毎に10円)※1ヶ月周期※

 社会保険完備

 有給休暇(イベント時は不可)

 週休2日(イベント等により多少の変更有り)

 この条件で宜しいでしょうか?

 返信お待ちしています


 本日はお疲れ様でした

 また明日10時からよろしくお願いします。   '


 学にしては丁寧な文面だ あいつも立派な社会人になったという事か……

 それにしてもこの条件はどうなのだろう?

 働く気の無かった俺は相場を知らない。

 元々収入等なかったのだ、何の問題もないな。

 ちなみに2万円したこのゲームチップの代金は親に借りている。

 これでちゃんと返せるな


 

 歩合給のwとはゲーム内マネー(ワールド)の事だ。

 確か普通のプレイヤーは1000wと100円で交換していたはず……

 まぁ、基本給もあるしこれ以上は贅沢か。


 続けて2件目を開く。


 'やっほー、お疲れ様でしたー

 やっぱり裕くんはゲーム上手いね!


 あ、打つの面倒だから詳しくは明日話すけど、第1回イベント確定したからねー、28日から忙しくなるよ!


 じゃあまた明日ー                '


 これが学だ。

 やはり人間は簡単に変わらないらしい。

 返信する必要なんてないだろう。


 しかしイベントか……

 寝る前に調べてみよう。


 携帯を閉じた俺は空になった皿を片付けるとそのまま風呂に行く。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ベットに入った俺は携帯を取り出しお気に入りへ飛ぶ。


 The 2nd world公式サイトへようこそ


 第1回イベントのお知らせ

 イベント期間 

 前半2/28、10時〜 3/5、10時まで

 後半3/6、18時〜 3/15 18時まで

 ※3/5、11時よりメンテナンスを行います

 終了予定時刻は3/6、11時とさせて頂きますが終わり次第開放となります


 第1回イベント(前半)

 〜野生の魔王をぶっ飛ばせ〜


 イベント期間中、The2nd world内に出現するモンスターを倒すと稀に"聖なる石"をドロップします

 聖なる石は種族に魔王を持つモンスターに対して当たると10分間相手魔王のステータスを下げてくれます

 どのステータスをどの位下げるのかは聖なる石の種類や大きさによって変化します


 また前半期間中、The2nd worldの共通フィールドのどこかで最低1体、最高6体の魔王がプレイヤーの皆様と同じようにレベルを上げています

 もしも魔王を見つけ出し倒す事が出来れば……


 イベント後半の情報につきましてはイベント開始前日に更新致します


 これからも快適なゲームライフをお楽しみください


 ……


 そこから先も詳しい情報だったり、よくある質問だったりが書いてあった。

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