第20話 これが魔王のレベ上げだ?10


 俺は最初の家から数件同じ事をした。


 だが、未だに見つけた物は何もない。

 何度この家何もねぇと思った事か……


 推測が間違っていたのだろうか?


 いや、まだまだ調べるところは山程ある。


 ハミルトンの言葉を思い出してやる気を再燃させる。


 そして次の家に行く途中でハミルトンの銅像を見つけたのを思い出した。

屋敷に行く途中に見つけた右手を上げている奴だ。



 これだ、周りにゾンビが居ないことを確認する。


 銅像に近付くと行きは出ていなかったアイコンが表示される。


 迷わずタッチする。


勇者ハミルトンの銅像

右手を上げて勝利の雄叫びver


 は?


 勇者ハミルトン?

 意味がわからない。


 銅像はハズレか?


 考えていても仕方ない、

 時間が経つたびに敵が増えるのだ。


 記憶に入れつつ隣の家に侵入する。

 そして俺は硬直した。


 ゾンビだ


 恐らく家の中で蘇ったのだろう。


 動けないでいる俺に噛み付いてくるゾンビを大袈裟に転がって躱す。

 危ない、もしも普通の移動速度だったらやられていた。


 それにしても攻撃方法はそれか?


 速度の優位を生かして後ろから殴る。


 ゾンビは消滅した。

 やはり遠距離攻撃が欲しい……

 なんなら中距離でもいい。


 そしてパーティの推薦レベルがかなり低かった事に納得する。


 人数がいれば間違いなくゾンビに遅れをとる事は無い。


 もう何度も見た景色。


 丸いゴミ箱とタンスしかない部屋。


 同じようにゴミ箱をひっくり返す、

 やはり何も入っていない。


 次はタンスを開ける、

 少しにやけてしまった。

 今日何度目かわからない扉を開けた先には、ボロボロのノートが入っていた。


 初めて見つけたアイテムが、やはり俺の推理は間違っていなかった、と安心させてくれる。


 そのノートにはこう書かれていた。


 "勇者ハミルトン伝記''


 内容を読む為にノートを開く。

 そこにはこう綴られていた。



 'これは勇者ハミルトンと魔王ベルゼブブの戦いを残したものである


 ある日突然空が紫色に染まった


 世界に終わりが来たのかと錯覚してしまう位


 この村から色が消えた


 人々は怯え……'


 ここでページが破けている。

 後は最後のページだけ読めそうだ。


 '私達に悔いはない


 死んだ後にもう1度ハミルトン様の領民になれるのならばこれ以上嬉しい事は何もない


 あの方の聖なる魔力と命の欠片で作ってくれた10の聖なる石


 その全てに私達は彼の栄光を称える像を作る事にした


 わかっている、私達は一生近付けなくなるのだろう


 もしも紫を避ける為に石が必要になった時は私……'


 最後のページも此処で破れてしまっている。

 それでも得られた情報は有る。


 恐らくハミルトンは魔王に負けたのだろう。

 このダンジョンの特徴はずっと紫色だった。


 だとしたらラスボスこそが魔王ベルゼブブなのだろう。


 ハミルトンは中ボス、

 もしくわ何らかの方法で仲間になるのかもしれない。


 まだ何も判らないが、それでも攻略する為の正しい道順を辿っている自信はついた。


 銅像と聖なる石についても気になるがまずは家を全て調べてしまおう。


 俺は外に出る為にドアを開けた。

 

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