第8話 僕と契約して魔王になってくれないか?8


 小学生みたいな妖精が指差した先には、


 魔王 説明文設定無 運営操作職業


 なんだそれ

「なんだそれ」


 心の声が漏れた。


「はい、私達は考えたんです

最新鋭のAIを使って最適な行動をボスにとらせてしまうとプレイヤーは何か有利な点やレベル差が無いと絶対に勝てなくなってしまいます


かといって他のモンスターと同じくランダムや特定の条件で一定の動きをするボスを作ってしまうと攻略されていつか倒されてしまいます


普通のゲームならそれでいいのですが……」



 白い羽の妖精が言いづらそうに言葉を止める。

 確かにそうだよな、こっちの行動を管理している以上AIが本気で最適行動を起こすとなると軽い未来予知になってしまう。


「続きは僕が話すよー

普通のゲームなら攻略されてなんぼのボスなんだけど、ボスを倒すとまぁそれなりの報酬とかが入るわけでー

簡単に攻略され過ぎちゃうと電話で言った通り会社が潰れちゃうんじゃないかって思ってー」



「それなら2人の内どちらかでも良かったんじゃ?」



 聞いた説明に色々大変なんだなと納得しつつ、

 軽い疑問を放つ。

 まぁ学がボスだったら潰れるどころかただの現金配布の様な気もするが。


「あはは、僕は知っての通りゲーム下手だし

真由ちゃんはモンスターの調整を随時しないといけないから出来ないんだ


因みに10人でやってるんだけど他の8人はゲームイベントの企画とバグがないかの調査、お客様からの質問への回答、現金の振り込み、情報の管理で手一杯だから僕ら2人で何とかしなくちゃいけなくなったわけでー


昔からゲーム得意だった裕くんをスカウトしに来た訳です!」


 もう隠すことは何もないと言わんばかりに清々しく説明する学。

 なんとなくムカついた俺はランドセルを摘みに行く。


「はぁ、とりあえずステータス見せてよ

一応剣使いと魔法使いも見たい」


 逃げられた俺は先に進める為に情報を請求する。


「こちらです」

 遠藤さんがすぐに縦長のリストを持ってきてくれた。


剣使い

攻撃20

防御10

速度5

技術0

魔力0

自由ポイント15

スキル

 剣(1)


魔法使い

攻撃0

防御5

速度0

技術10

魔力20

自由ポイント15

火球 水球 風球 土球

  スキル

 魔法(1)



「ちなみに(1)は当てはまる攻撃等をしたときに1割の補正だよー

(3)になったら3割、(5)なら5割アップってわかりやすくしたよー」


 ランドセルを隠しながら学が教えてくれる。


「基本は50が初期ポイントの数か

レベルアップとかでもこのポイントは増えるんだよな??」


 今までやってきたゲームを思い出しながら俺はこの世界のルールを覚えようとする。


「勿論です、どんな職業でもレベルアップで2ずつ

ランクアップで5増えます

魔王はランクアップないので3つずつ増えます」


 ならば俺は他のプレイヤーに負けない為に常にレベルを上げなければいけないのか。

ん?魔王もレベルを上げる?

「魔王もレベルを上げるのか?」


 違和感を口にする。

 基本的にオンラインゲームのボスはレベルが決まっていて、それで推薦レベルだったり、何人かのパーティーで挑む事にするものだ。


「やっぱりそう思うよねー

でも、さっきも言った通り魔王の落とす報酬はレアなんだー

プレイヤーが強くなるのに魔王はそのままだとすぐに金欠になっちゃうの!

だからこそ他とは違うこのゲームのもう1つの宣伝要素!

重要なボスは運営が操作するって事になったんだ!」


 まぁとりあえずステータス見てみよっか

 そう続けて学がアイコンをタッチする。

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