第9話 僕と契約して魔王になってくれないか?9


 魔王


攻撃10

防御10

速度10

技術10

魔力10

自由ポイント10

火球 水球 風球 土球

 スキル

 全武器(1)

  魔法(1)

対複数人補正(人数×0.1)

補足説明

10人なら10×0.1でステータス全て1割アップ




「あれ?案外弱い?」

  正直な感想だった。


 他の人より多いのは自由ポイントの10だけ。

複数人補正あるとはいえこれじゃ高レベルプレイヤーに1対1で勝てるかどうか……

 もっと俺強ー出来るものだと思っていた。



 緑の妖精がターンして指を指す。

「だからこその裕くんなんだよ!

君のプレイヤースキルとレベル上げに僕達は希望を託しましたー」


 緑色フェアリーは当たり前じゃんって顔でこっちを見てくる。


「魔王のステータスは基本的に公開されます

なので、あまり差が付いてしまうと不満が出てしまうんです

でもでも、高威力の魔法とか広範囲の魔法とか必殺の剣とかレベルアップすればゲット出来るかもしれないですよ?」


「あー、レベルアップで絶対に覚えるわけじゃないんだ」

 ここで更なる追い討ち。

 魔王が使えるスキルは基本的にプレイヤーが覚えられるスキルに限定されるらしい。

 ちなみに運営が操作しないモンスターやボスは固有スキル有りらしいが……

 この時の俺が知ってるわけもなく、


「案外魔王不遇じゃねーか」


 つい愚痴が出る。


「まぁまぁ、とりあえずやってみない?

戦闘とか楽しみにしてたでしょー」


 学が手を振りながらスタートボタンを持ってくる。

 その言葉で俺は今までの文句が一瞬で収まり、早く楽しみたい気持ちでいっぱいになる。



「そうだな、とりあえずレベ上げしに行くか」


 ステータスポイント10を攻撃に全部振った俺はスタートボタンを思いっきり押し込んだ。


 視界がもう一度ホワイトアウトする。


「楽しみだな」


「ありがとね裕くん、僕が好きなアニメの言葉を借りるなら


 僕と契約して魔王になってくれないか?


                    だね!」



 答えなんか決まってる。



「契約してから言うのずるくないか?」



魔王と緑の妖精は笑いあいながら冒険の舞台へ移動した。


























「やっぱり私は無視ですか、無視なんですかー

無視なんですねー」


 うわーん、おかあさーん、もうこの職場辛いですー

 悲しみを宿した妖精も冒険の舞台へと移動した。

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