色んなことがあったぜイヤー!!

灰兎と遭遇して翌日、私はベッドで寝転がっていた。


「あ〜どうしよ、これから。灰兎と会ったしその後も多分交流はあるだろうし、その他の攻略対象と遭遇するっていう事を考えると先行きが不安になってくる……」


溜息を吐きながら天井に手をかざすと、それと同時にゆうがひょっこりと顔を出してきた。


『どうしたの、溜息なんて。らしくないじゃん』


「うわ、入るんならノックはしてよ……。これからのことを考えてたの」


思わず眉を寄せてしまえば、ゆうは肩を竦めた。


『人が心配してあげてるのに失礼だなー。その攻略対象とやらは他に何人いるの?」


「二十人弱くらいかな…って、盗み聞きした?」


『たまたま聞こえただけだよ。二十人弱、ねー。多すぎるね』


「いやまあ、世代とか諸々あるし。おそらく遭遇することはないでしょ。灰兎だって、前世を覚えてたから私のことに気付いただけだと思う」


ゆうの方は見ずにそう喋れば、ゆうは何も言わずにただ首を傾げた。


それから呆れたような視線を送ってきて、私まで肩を竦めた。


だってしょうがないじゃん~!! あの曲は条件反射で歌っちゃうんだからさあー!


パーティーのことを思い出し、近くにあった枕を抱き寄せる。


完全に不貞腐れた私の様子に、ゆうの視線は更に厳しくなった。


『はあ……………心配して損した。転生させた僕が言うのもおかしいけどさ、もうちょっと警戒心とかないの?』


「そんぐらいは普通にあるわ」


訝しげなゆうの言葉を、私はすぐに叩き落とした。


警戒心なきゃ歌手として生きてけないのに、警戒心皆無で日々過ごしている訳がない。


ガバッと身体を起こして睨めば、ゆうはべっと舌を出した。


『どーだか。正体隠す気ないでしょ、あれだけやらかしておいて』


「ぐうっ…………!」


痛い所を突かれた私は、何も言い返せず唸った。


「今日どうすればいいの~~~!?」


早朝に、私の叫びが木霊した。

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令嬢転生!乙女ゲームの悪役?に転生したけど令嬢ライフします。 結魔莉<ユマリ> @misamana

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