華美嘉家当主主催尋問会!長いわ!!



どうもこんにちは、華美嘉神奈でございます。


あの灰兎襲撃パーティーから数時間後、パーティー自体は終わりましたけれど、使用人やら甘夏家の方やらが興醒めしそうになかったそうなので、お父様は私と灰兎を別室に移動させました。


只今、華美嘉家当主主催尋問会が始まっておりますの。


ふふ、二対一と人数的にはなのですが、どうしてでしょう。負ける気配しかありませんわ。


ああ、お嬢様言葉はなんてこんなにも疲れるのでしょうか。不思議ですわね。


お父様の背後からドス黒いオーラが見えてるのですが、幻覚でしょうか?


おほほ、私この年で幻覚が見えてしまってるですかねぇ。


「神奈、お父様は怒らないからその男との関係を教えてくれないか?」


お父様は笑顔で私にそう言ったけど、その笑顔がとっても不自然すぎて怖い。


なんなのお父様。一人二人どころか、幾百人ぐらいは殺ってますと言うぐらいには殺気が溢れ出てるんですけど!?


私の家って、暗殺者かなんかだったけ? アレェ? 私がおかしいのかな??


んー、これどうしようかなぁ。前世の知り合いってこと濁しながら伝えた方が良いよね?


「ふふ、お父様、彼は、に深く関係しているんですわ」


私は前世で培っていた営業スマイルをここぞとばかりに貼り付け、少しお茶を濁しながら言うと、お父様は目を見開いた。


「………もしかして、知り合いか?」


「ええ。彼、これでものですよ」


「……………………」


私の言葉に、お父様はとうとう頭を抱えた。


…そりゃそうだよな。なにせ娘がどこぞの子息といきなり歌い出すわ、会場荒れるわ周り困惑するわで酷かったもんなー。


お父様が頭を抱えてしまうのも仕方ないと内心頷いていると、今まで沈黙を保っていた灰兎が口を開いた。


「失礼ながら、華美嘉家当主であられる華美嘉肇殿。発言の許可を頂いてもよろしいですか?」


灰兎の声に、お父様は驚いた様子で数回瞬きすると、「許可する」と頷いた。


どうやら甘ったれたボンボンお子様と思ってたらしい。


ふはは、お父様。見た目でコイツを舐めちゃあいけませんぜぇ?


なにせコイツは、私と同い年ぐらいで精神年齢は二十歳越えだからなぁ!


ギリギリ二十代だけどもうオバサンとオジサンなのよねぇ、私達。


そんな今の状況とは程遠いことを考える私を知って知らずか、灰兎は珍しく真面目な様子でお父様に話しかける。


「『來雷』と言う人物を?」


「ああ、知っているが…それが………………ッ!?」


お父様は灰兎に相槌を打つが、暫く沈黙すると突然、驚愕の表情を浮かべた。


「まままま、まさか、貴殿も!?」


明らかなお父様の動揺ぶりに、私は首を傾げる。


…んー、そんなに驚くことかな? 別に私や雷よりも凄い人物はもっといるし、なんなら神様ゆうもいるしねぇ。


そんなに大した事じゃないと思うけど……。


「お父様、もう外は暗いですし、そろそろ解散致しません? 私、眠くなってきましたの」


私だけ置いてけぼりにされ、勝手に続いていく会話は聞き飽きたので、お父様譲りの笑顔で私がそう言うと、お父様は何度も頷いた。


「神奈はもう自分の部屋に戻りなさい」


お父様に促され、私は灰兎に一言詫びて、踵を返した。

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